ハプスブルク家の紋章
わかんねえ人はいねえと思うが、順位確定っていうのは、オーラスで順位を確定するアガリをすることだ。もちろん、トップ確定アガリってのは誰も非難はするわけねーわな。そんなことしたら、競輪みてえにオーラスでトップに立ってる奴がトップになれねえってことになって、妙なゲームになっちまう。野球でいえば、９回で佐々木が出てきて、打たれなきゃみんなブーブー言う、っていうのと同じだ。確実におかしいぜ、これは。
非難されるのは主にラス確定だけど、２位確定、３位確定ってのももちろんある。ことによると、２位確定、３位確定も非難の対象になるってんだから、困ったもんだ。ちなみに、雀荘に行ってても、こういうアガリをすること人は沢山いる。当然、それにいやな顔をする奴もいれば、まあいいやって奴だっている。当たり前だよな。
順位確定問題、とでも名づけておこうか。以下、この問題をちょっと考えてみようぜ。どうでもいいことだけどな。順位確定すんな、バカ、とか言われて困った人は見てくれ。
俺の経験上、この問題で非難されたことはほとんどない。これは目的をみんながはっきり持っているからだ。この問題を考える前に、人が意思決定するプロセスをちと考えて見てくれ。俺が知ってる限りのことを書いてみる（実は俺のやってる勉強の復習にもなるってんだから、一石二鳥ってもんだ。経営学のお勉強です）。
普通、人は各種前提と目的を認識することから意思決定のプロセスを開始する。ただし、目的達成のために、制約の条件を認識しておくことも必要だ。こういうことしないで意思決定してる人ってのは、実は長島監督を批判なんかできんぞ。
制約の条件ってのは目的に対して、行動の制約になるような条件だ。価値前提、事実前提ってのがある。例えば、麻雀で言えば、事実前提ってのは、自分の手牌・ツモ・他の３人の捨て牌・他の３人の性格、とか、自分ではどうにも変えられないもんのことだ。対して、価値前提ってのは、「こいつ気に入らねえ」とか「麻雀は所詮いいかげんにやっときゃいいや」とか「トップ取りてー」とか「バイマンつもりてー」とか、自分で変えることができる前提だ。両方とも人の行動を制約することになる。
次に目的がある。これも人によって違うことははっきりしてる。主観的なもんだからな。目的だって人によってさまざまだ。普通麻雀するときには勝つことが目的になるんだけど、もちろんそうでない人もいる。わかりにくければ、こういう例を考えてみればいい。
俺らが仲間内で麻雀するときにはよく一番得点の低い奴が飲み代をおごる、っていうことをやる。もちろん、稼いでる奴は高いところへ、稼ぎの低い奴は安いところへ、と一応優しいルールになってる。それにしても、ラス確定であっても、ゴチ確定にならなければ俺だったらあがる。当然だろう？これは目的がトップを取ることではなく、ゴチしないことにあるからに他ならねえんだ。当たり前だよな。
（ゴチバトルは最近恒例になってる。ちなみに俺はまだゴチったことはないぜ。馬場で麻雀して負けて負け分は１万でも、その後新宿で１次会、２次会で７万なんてことになってるからな。頼むからつぼ八とかにしてくれ・・・）
ここで注意をしてもらいたいのは、目的というのは意外と主観的な要素が入ってるってことだ。点数取ることを目的にしてる人、トップ取ることを目的にしてる人、高い手をあがることだけ目的にしてる人、さまざまな目的が人によって存在するってわけだ。ここに確定君を非難する奴の心の奥が見えてくる。一応、断っておくが、俺だって２着目でトップ取れる３メンチャンダマで場に安い待ちの手が入ってるのにラス確定のペンチャンののみ手をラスがツモあがったら、かなり頭に来るから、確定君を非難する奴、ってのはもちろん俺も含めてってことになるんだがな。
要するに確定君を非難する奴ってのは、正義押し付け癖のある奴ってことだ。いるだろ？たまにこういう奴が？人のことは全然考えてねえ奴がさ。他にいい面がねえなら確実に仲間外れorいじめられっ子だ。社会適応性がねえってことだな。まあ、自分の信念がねえ奴よりははるかにマシだから、世の中では意外と重宝されるんだけどな。でも、ごくごく普通の人からすれば、かなり迷惑な存在ってことになる。
まあ、これは主観と主観のぶつかり合いだから当然争いにはなるわな。わかりにくいんだから、問題になるのは当たり前だよ。この辺を俺なりにはっきりさせてみようと考えてみたってわけだ。
ちなみに、目的がはっきりすれば、目的に適合するようないくつかの代替案を探り出してこれらを評価し、一番評価の高いものを選んで実行する、というプロセスで人は意思決定をする。
代替案を沢山出せる奴、代替案を評価するのが正確な奴、実行することを決断できる奴、ってのが結局のところ強い奴ってことになりますなー。どれか一つ欠けても、目的に合致しない行動を取ることになるからな。あ、そうそう。変な目的を持って麻雀しててもやっぱりそれは弱いってことになるのは言うまでもねえよな。東風荘で言えば、ナンパすることを目的にする奴とかな。まあ自由なんだけど。(笑)
ご存知のことと思うが、俺は神がかった話って全然好きじゃないんで、「運命を支配する何者かとの会話ができる奴は麻雀が強いんだ」なんてのは漫画の世界だけの話だと割り切ってるがね。でも、神がかった奴ってのもたまにはいる。究極的にはキリストとか釈迦とか新興宗教の教祖とかそういう類の能力ある人だろうな。俺もそういう能力があったら宗教開いてるよ。(笑)
これで問題点ははっきりしただろ？普通のそこらの喧嘩と何も変わらない、居酒屋で政策論争とかしてるオヤジと同じレベルの話さ。
でも、ゲームである以上、自らの負けを認める行動ってのはあんまり取ってほしくない。最後まで諦めるな！っていうのは俺のモットーだが、諦めたらゲームはつまらんよ。オリンピックとかでもそうだろ？別に人に見せるためじゃなくて勝つためにやってるから例に挙げるんだけど、例えばサッカーで３点差くらい付いてて諦めてタラタラゲームされちゃうんじゃ見てる方も嫌になるし、相手だって楽して勝てるけど、やっぱりつまらんと感じてると思うんだ。
しかししかし！とりあえず反対の意見もあるってのをわかってもらいたいもんだ。
東風荘で２位確定アガリにすら批判的な人に知っておいて欲しいことがある。まず第一点。そりゃあなたは、トップを目指して日夜？頑張っておいでかもしれん。しかし、東風荘でランキング卓ってあるよな？上級ランキング卓ってのもあるよな？両方とも打ってる人の中に少なからずランキングを争ってる人だっているわけだ。ランキングって何で争うんだっけ？普通、点数だよな。例えば３位と３万点差くらいついてるラス目がハネマンしか聴牌できなくて、ある奴から出たとする。そしたらそれ当たったっていいじゃんか？逃すのはウマだけ。ここで可能性のほとんどないトップを目指す？おっかしいじゃん？！期待値考えてみたことある？ＮＭ変数って知ってる？とまあ、言いたいことは色々あるが、突き詰めていやあ、ランキング卓じゃ、ここでハネマンあがるのは俺は正確な判断と思うぞ。
もう一点ある。例えば３人が僅差で３万点前後、ラスだけ２万割ってるとしよう。ここでラスがリーチツモをあがったとする。順位は変らない。ラス確定だ。ここで、僅差の２着３着の気持ちとしては「何でお前そんなあがりすんの？」ってところだろう？でも、それはラスの側からこう思ってやってもいい。
「オーラスになる前にお前らなんでそんなに点数持ってないの？なんでトップに立ってないの？この時点でトップになれなかったあんたらが悪い。」
これでいいんだ。こう言われても文句言う奴がいたら、ダメな奴だと思ってやれ！俺もたまに文句言うけどな。ゲームが壊れたなんつーのは言い訳に過ぎんのだ。俺は弁解する時は徹底的に言い訳するから、バシっとこう言われれば、俺は文句は言わん。むしろ、裏乗らず順位変わらなくてよかった、なんていう感想をもつだろうな！
とにかく、オーラス以前にみんなあがるんだろ？オーラスでもなんでもできるだけ多くの点数を持とうとすんだろ？後ろにぴったりついて最後に追い抜くのは確かにかっこいいけど、いつもそういうわけにはいかんぜ？まあ、それをやろうとするのは別に構わんが、確定君の脳味噌の構造を非難する権利はねえはずだ。楽しみ方はいろいろあるからな。少なくとも、上に書いたようなことでラス確定でもツモあがるんだったら、俺は認めるぞ、それ。
じゃ、ワイワイ卓でラス確定もいいんか？ってことになるだろうな。俺は極力やらない。でも、ラス確定アガリすることが絶対ないとは言えない。
まず、気に入らねえ奴がいるときだ。ワイワイ卓だからこそ、こういう奴をトップにしないって行動も許されるとも言えるだろ？(笑)実例を挙げて俺の言い訳をしとこう。
結構前だが、適当にワイ卓に入った。そいつはラス親だった。東１、なぜかそいつが親の第１打の北をポンした。まあ、最初にあがりたい、ってのはいいだろ。俺もたまにやる。しかし、その後、確か３→４５万みたいなのでチーして、更に親が切った６ソかなんかをポンした。南家の俺はツモ飛ばされてかなり怒った。そいつがポンしたあとには、親はツモ切りしてない。そう、全部入ってるんだ。
７巡目に親がとうとうドラ切ってリーチしてきた。俺は４回しかツモってねえ。親は７回ツモってる。２倍近いツモじゃかなわん。しかも親はアガリ点が１.５倍なんだ。そしたら、北家は今度は残り４枚からドラを切ってきた。おりたのだ。責任を取る気がないのだろう。そのあと親は一発ヅモで親ッパネ。俺はここで、「アホくさ」と言った記憶があるが。。
この半荘、結局最後はラス親がトップ目の起家と１万点差の２位、俺は振り込みを避けて何とか１万点くらいはあったが、手が合わず２位はおろか３位も無理な状況。そこで俺はリーチした。実はラス親の野郎から俺が直撃すればラス親は３位になる。しかも、かなり巧妙な迷彩リーチだった。案の定、ラス親はホンイツ染めてて俺の当たり牌を出してきた。俺は余裕でロンボタンを押す。そいつはそれで３位転落だ。ざまーみろ、だ。
もう一つ。基本的に俺は順位確定のアガリなんかしないってのは前述の通り。しかも俺はＲ重視派だ。少しでも上の順位に行きたくなるもんだ。それでも、たまに確定のアガリをする。それでいいんだ。「常に」確定アガリしない奴なんか、手を読む材料を相手に与えるだけだからな。裏期待逆転リーチなんかもたまに冷たい目で見られるが、こんなんだってやっとかなならんだろ。「リーチしたけど、こいつ、どうせ確定だろ。」って切ってもらうことがなくなっちまうだろ？逆に順位確定リーチを恐れてくれれば、少しでも手を遅らせる効果もあるだろう。
ゲームを面白くするのは、何も順位変更のアガリだけじゃねえってこと、少しはわかってもらえるかね？
もちょっとキツイ文句を言わせてもらえば、常勝人間が存在する、っていう観念は捨てて欲しい。確かにロマンはある。ロマンを大いに感じて楽しんでもらっていいんだ。でもそれは他人に押し付けるようなシロモンじゃねえ。
もし、雀鬼会のようにいろいろ制約を付けていけば、まぎれが少ない分だけ、強い弱いの差というのは結構数字に表れてくるんじゃねえかな？ジャンケンだって相手の心理を読んで勝てる奴っているだろ？あれと同じさ。ジャンケンは制約が多いからよ。相手の指の筋肉の動きを見て勝つ奴ってのもいるらしいぜ？
でも、雀鬼会じゃねえんだ、俺は！もっと紛れの多い、一定のルールの下で打ってるだけだ。それでも常勝人間ってのはいるかも知れん。だが、そんなの滅多にない。宇宙人と同じくらいいない。ひょっとすると宇宙人より目撃情報が少ないかも知れん！いや絶対いるって奴がいるなら、絶対どんな環境でも負けないって言うのを連れてきて欲しいね。まあ、本当にそういう人がいるならば、こんな奴に相手にしねえで、カリブ海あたりで優雅に暮らすんだろうけど？そういう暮ししてねえんだったら、俺がプロデュースしてやる！儲けの半分はもらうぜ。(笑)
ま、グダグダ言っても、麻雀って究極的には手先の器用な奴が勝つ、あるいは仲間がいっぱいいる奴が勝つ、っていうことになるのわかってるから、しつこく言いたくねえけど、常勝は凡人にはほとんど無理、って考えてくれれば、不合理なアガリなんかも笑って許せるようになるだろ。あんたが常勝するために俺のトップは捨ててやる、っていう奴がいっぱい出てくるくらい人徳があるってんなら話がわからんでもねえがな。
ラス確定が俺もたまに許せなくなる時ある！でもまあ、「その縄（合理性）じゃ、オレは縛れねえよ。」（by 赤木しげる）って言われりゃいいってことで！
９９年６月２８日
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