monsyo
ハプスブルク家の紋章

 楽に強くなりたい? 



かっこよく見せるために

はじめに

 東風荘で打っていると、やっぱり誰が何といってても、Rが高くて悪いことはない。たまにRなんて気にしないなんて言ってる人もいるにはいるんだが、それはそれとして、HNの横に数字がある限り、これは気にするなとかいう方が無理な話だ。社会的に言って、見えるモノ以上に影響力を持たすのは難しいのだ。R高いからといって自慢する必要はねえが、高いことは気分的に悪くはないはずだ。しかも、前から俺が言ってるように、Rは一種の楽しみとしての効用があるってのは確かなことだ。

 楽してRを上げるっていうのは、幻の複数起動や、PC複数台使っての4人分打ち、はたまた知り合いとの「通し」くらいしかできないだろう。まあ、そんなことをしてR高くしても何も意味はないのだが、とりあえず見栄えはいいかもしれん。何度か観戦してりゃ、こいつがこんなに勝てるわけねえや、なんてのがわかってくるんだけどね。

 一方で、ヒラッコ(=イカサマ無し)で強くなりたい、勝ちまくりたいという人もいるのは事実だ。正直言って東風荘に来てる人の多くは暇つぶしにルールだけは知ってる、後は適当に遊んで大勝してやろう、くらいの人が多いはずだ。基本的な打ち筋を見てれば大体わかる。勝負勘とか以前の問題なんだよな。こんなの相手にしてるんだから、合理的な行動というのをある程度してれば、楽にR1800とか行くはずだ。

 それともう一つ。大勝ちしてやろうなんて思って打って大負けしたら、かえって気分が悪いだろ?だから、ちょこちょこ上がってでも、最終的に勝つ方が結局は気分がいいってわけだ。当たり前だよな。

 その合理的行動って奴を極めようとすると、非常に面倒くさいのだ。もちろん、合理的行動を取れば不合理な行動を臨機応変に取ってくる人には負けるが、初対面の人間と打つ場合には、そんなことは心配する必要はない。そういううまいやつがわけのわからん、しかも顔も見えない、Rもそこそこの人間にそんな手を使ってくるわけがないのだ。彼らはただただ合理的に行動していれば勝てることを経験的に知っているはずだ。

 そこで、こちらもそれに対応して合理的に行動してやろうじゃないの?というわけだ。でも、そんなに入れ込んでやりたくはねえ、ってことであれば、頭をなるべく使わないで、かつ観戦者までも感心させるような打ち方で勝てるとかっこいいはずだ。

 つーことで、これからちょっとだけかっこいい打ち筋のパターンってのを見てみようじゃないか。かっこいいといっても、これを雀荘でやってても上手い奴から見れば、「何それ?当たり前じゃん?」と言われるのがオチだけどな。ま、東風荘ではちょっとは勝てるようになるんじゃないか?

 俺としては、東風荘というよりも実戦を意識して以下パターンを見ていこうと思う。また、俺は人に物事を教えてるってえのは、塾講師やってて塾長と殴り合いの喧嘩して以来、どうも苦手だ。費用対効果、この程度なら誰が考えても納得できる、くらいのものを紹介してみることにする。中級の壁って奴を打ち破って中級者になれるかな?程度だ。

 勝負勘がうんぬんつーよりも、まず手牌の捌き方ってのが分かれば、東風荘ではかなりの強さを発揮できると思うよ。

 このページでは例によって、数字はマンズ、ピンズ、ソーズの順番、0はその門牌(その色)がないことを示す。なお、便宜上、それぞれ、m、p、sの添え字を使っている場合もある、ってことで。

配牌から優位に立て!

 配牌をもらったとき、イメージを作ることは大切だ。イメージがなければ成功しないのは麻雀も人生も一緒。配牌の第1打っていうのは非常に大事なのだと思っている。但し、雀鬼流だと選択の幅は狭くなるからここでは扱わないよ。いつも字牌が第1打に出てこないなんて、ワンパターンでバリエーションが少なくなってしまうと、初心者にはかえって有害だと思うからだ。

その1

356 4568 78 南白中中  ドラ6p

 まずは、よくありそうなこんな配牌を取り上げてみる。まあまあいい手だ。東一局南家の俺の配牌だ。ここに4万をつもってきた。さて、何を切ってやろうか。

 イメージとしては、南家であることもあって中鳴きのドラ1で早めに終わらせたいところだ。第1打に字牌を打たないのがかっこいい、と考える向きにはおすすめは8ピン切りだろう。でも、この場合、8ピン切りは異常にロスが大きい。確かにこの後早めにドラを持ってきて4566の形が待ちになればそれはそれで8ピン切りは少しは生きるかもしれない。4568で普通は8ピンは切らないからだ。

 普通麻雀は4面子、1対子であがるものだ。仮に中を頭にしたとすれば、ピンズかマンズで1面子作らないと足りない。だから俺が開局一番にあがろうとするなら字牌から行く。南か白だろう。

 もちろん、俺が切ったのは白なんだが理由は2つある。1つはこの配牌ピンフにしている暇はない。親はR1800のつわもの?だ。油断は出来ない。早く中をポンしたいってわけだ。すると、字牌絞りなんかにこだわってはいけない。なんといっても、白を切って三元牌を安くする戦略を取るってわけ。

 当然白が鳴かれれば三元牌は安くなるどころか中は出てこない可能性も大きくなる。しかし、白切るってのは、第1打から既に勝負なのだ。引いていては勝てるもんも勝てなくなる。

 第2の理由はかなり副次的(要するにあんまり意味ねえってこと)だが、白はメンゼンで行ったとしたら一番現時点で一番いらない字牌だからだ。中が対子。東は所在がわからんのだったら、とりあえず南よりは白が、裏なり槓ドラなりが乗りにくいと判断するのが普通だろう。

 結果、三元牌を安くする戦略ははずれて中は全然出てこなかったが、3巡目に9ソー、6巡目7ピンと引いてきて、369ピン待ちのリーチ。2巡後に9ピンツモ。何と、ウラドラは中!リーチツモドラドラのマンガンで、警戒すべき親にカブらせることに成功した。

その2

58 46 1445677 北北  ドラ5s

 東1局、北家の配牌。こんな感じだったはずだ。ツモって来たのは5ソー。ドラ対子でいい感じである。ここで何を切ったか。

 北家はここで露骨に5万から切っていった。実はこの後、8万、4ピン、6ピン、と切っていくわけだけど、東家から7ソーをポンしてから西家はもちろん、他の2人も全然ソーズを切らなかった。

 俺だったらまず、1ソーからはずす。理由は2つ。

 第1にはホンイツ色を少しでも消しておきたいってことだ。もちろん、ソーズの脂っこいところはこれから出すつもりはないから、上級者には簡単に読まれてしまうけど、ほんの少しでもマギレさせたいってところ。

 第2にはもしかして北を枕に普通の手になるんじゃねえかな、と思うからだ。北家は5万切りのあと、事実マンズの79、そして5ピンもツモってきていた。北を落してピンフ、イーペー、ドラドラになった。これには、北家はおとなしくメンゼンで進める、という意味も隠されている。北家はポンしてはいけない(「ペーチャプーポン」ってやつね)、ということだ。ただでさえアガリ点が1.5倍になる東家のツモを増やしてはいけない。結果は確か東家のリーチオヤマンツモ。

 北家は必ずしもポンしてはいけないわけではないが、ゲームの展開を重視すればなるべく動かない方がいい。



その3

11559 12446999 4  ドラ5s

 第2常連の方の東2局1本場親の配牌。点数が平たい場だった。

 親だから何か切らねばならない。ここで、この人は9万を切った。親だから急ぐという趣旨だろう。この辺は趣味の問題かも知れないが、別の牌を切る人はいるだろうか?

 俺ならここは1ピン切りだ。機会費用の考え方で考えてみよう。9万切りで受からなくなるのは89万だ。1ピン切りで受からなくなるのは1ピンだけなのだ。ちなみにここで4ソー切る人は残念ながら俺だったら初心者だと思ってなめてしまうだろう。ドラ受けはこの時点では残しておかねばならんだろ?

 以降、7万、4ピン、2ソー、9万、5万とツモって最後は 11555 12444999 0の形で6巡目にダマで3ピンツモ三暗刻。2700オールだった。しかし、事実、5巡目に9万をツモっている。出たかどうかはわからないが、19万待ちのツモり四暗刻チャンスだった。ペン3ピンと19万シャボの出やすさを比べたら、俺なら絶対後者を取る。

その4

1679 115 139 西白發中  ドラ發

 東2局3本場、東家の配牌。+10100のトップだ。ご覧の通り9種10牌。流せる手だ。ここで東家はあっさり流した。当然である。国士を狙う条件というのは、普通、
・かなり負けてる。
・ヤオチュウ牌(19と字牌の総称)がドラの時、ドラを持っている。
・少なくとも7~8種はある。できれば親でないときの方がいい。

といったことだ。もちろん役満御祝儀なんかがある場合はもうちょっと積極的に狙ってもいいかもしれないが、俺はとりあえずこんな条件を満たしていれば、国士に走ってみることが多い。

 コンピュータでシミュレートしてみると、実は9種9牌から国士無双聴牌する確率は3%。9種10牌でもさほど変わらないだろう。ましてや、トップの親番ならここは流しておくの賢明。流さないで国士やるのはお遊びの場だけだ。

その5

3 1556789 0 東東白發  ドラ白

 東2局南家だった俺の配牌。マイナス5000点のラスである。

 第1ツモが6ソー。当然ここはピンズのホンイツを狙ってみたいところだ。何を切ればいいだろうか?

 3万や6ソーを切っていくと発想した人は残念ながら中級に達することは出来ないだろう。早めにドラの白を切るなんてのは論外だ。俺はこの配牌から1ピンを切り落とした。ホンイツになったときのほんのわずかのまぎれと、もしかしたらタンピン3色まであるかもしれないと思ったからだ。

 以降、發と46ピンを引いてきて、東、發と鳴いて、
0 455667 0 白 東東東(ポン) 發發發(ポン)
という形で聴牌。11巡目に白をツモってきっかりハネマンツモ。以降の戦いの主導権を握ってトップになった。

 上のような配牌はピンフも見るとするならば(っていうか、確実に見るんだけど)、以降のツモに方向を聞かねばならない。だから中立牌(狙いのどちらも損なわないような牌、と定義しておこう)を切って、牌に進むべき方向を聞く謙虚な態度が必要だ。

その6

34567 2459 346 中  ドラ發

 東4局で既に45000点持ちの大トップの北家の配牌。なるべく手を速くして速いゲーム展開に持っていくというコンセプトだってことくらいは、初心者でも聞いたことがあるだろ?

 その速さの方向を履き間違える人が多いのもまた事実だ。絶好の配牌だけに大事に行きたいところだ。第1ツモは南。

 ドンラスでツイてない南家が字牌から切ってるのを見た北家は、南を残して9ピンを切っていった。正解である。頭がないのはあまり心配しなくてもいい。大トップなのだから大きく構えて、しかも北家なだけに第1打から親に中を切って鳴かれて調子づかせるのも考え物だからだ。

 ここはクイタンと南重ねのダマピンフか、あるいは中鳴きのノミアガリなんかを目指すべきだ。ただドラが發なだけに、役牌を安易に切ることはできない。このような配牌は大トップのときにリーチをかける手にしたくない。速いリーチに持っていきたがる人は要注意だ。そういう意識はトップを取るためには不要なものだ。8万点を目指す必要があるならリーチも辞さないがね。

 北家はこの後普通に中張牌をツモってきて、
345678 456 3466
の聴牌。当然ダマだ。11巡目、ツイてない南家が序盤に4ソー切りのあと3ソーかぶりなどがあったから安心していた北家に2ソーを打ち込み。この後もダマで慎重に摸打を繰り返した北家は5万点を超えて、トップ逃げ切りを果たした。

その7

134678 23 7 南西西白  ドラ6ピン

 オーラス南家の俺の配牌。トップの北家とは18000点差、3位西家とは1800点差の2位。4位の親とは16000点差である。

 こんな時の戦略の選び方は重要だ。3位との差があまりに少なすぎる。トップにもなれそうにないし、ラスにもなりそうにない。となれば、ここは実戦的には2位狙いだ。

 たまに勘違いをしてる人がいるんだけど、普段ワンスリー(トップが+30、2位が+10、3位が-10、ラスが-30というウマ。東風荘では+8、+4・・・らしい。)で打ってる人ならトップを狙うのもなかなかいいかもしれない。しかし、普通はゴットー(+10、+5、・・・のウマ)やワンツー(+20、+10、・・・のウマ)で打ってるだろ?実はこの種のウマは2位と3位の差が一番ついてるってことに気が付くだろうか?要するに2位から3位に落ちることはかなり致命的なのだ。

 俺は当然ここは2位確保の狙いだ。こんな配牌で優雅にトップを狙うようなことであれば、トータルではだいぶ沈むはずだ。うかうかしてると3位が軽い手で速攻に来る可能性もある。

 第1ツモは2ピン。正直言っていらない牌だ。ここは素直に2ピンツモ切りがいい。南も白も重なれば逃げられるから、この牌姿で切る牌ではない。以降、2万、6ピン、8ピンをツモって来た8巡目、俺はリーチに出た。当然トップ目は降りるだろうが、1巡目に切った2ピンが効いてくれればいい。ベタ降りしない限り出てくるだろうと読んだからだ。

 234678 23 678 西西 の形で2巡後4ピンツモ。かなり危ない橋を渡ったが、3位が接近してる以上、ここは勝負どころである。また、たまにこういう所を見せておくと、後々、トップ目が「どうせ2位確保リーチだ」と思って向かってきてくれることもある(笑)。いずれにしても上級者相手では通用しない戦術であることを付け加えておこう。

その8

245 12345 49 東南北  ドラ東

 東3局1本場、マイナス2000点の西家の配牌。第1ツモはまあまあの6ピン。俺はこの時、西家の打ち方の特徴を考えて打つことにした。

 ドラが東なだけに一発目で東を鳴かせたくはない。他家の風牌も同様である。ここまで小場だっただけにそろそろでかいのが来そうな予感がしていた。第1感は大切にするのが俺のモットーである。

 西家は一番束縛のない位置だ。親は連荘を目指すし、南家は親の捨て牌を利用してでも連荘を阻止する役割があるし、北家はポンして親のツモを増やさぬようにひっそりと聴牌を目指さねばならない。しかし、西家にはこれといった使命はない。自由度が高いといっていいだろう。思いのままに牌を延ばしていける席である。遊んでもいいし、デカイ手を狙ってもいいだろう。以降、2ピン、3ピン、中、1ピン、中と引いてきて
45 112233456 0 中中
でリーチ。その後4巡目に6万ツモ。  このツモから場が急に動き出し、主導権を握った俺はトップになった。

その9

99 13458 1 南南西北發  ドラ7ピン

 東1局西家の俺の配牌である。第1ツモは8万。それにしても俺の嫌いなパターンの配牌だ。一応4シャンテンではあるけど、ここからどういう手をイメージして行くだろうか?

 俺はここで打1ソーとした。西家だからピンズの一色は思い切り狙ってやろうと思ったのは二次的な理由。俺の本当の狙いは?
 四喜和だ。俺は過去数回、四喜和をあがっているが、いずれも配牌時点から強い予感の賜物だ。この時も予感があったからこそ、第1打から狙っていったのだ。

 次に3万ツモ。ここで字牌を怪しまれないように打發。以降6巡目までに3つの色を織り交ぜた捨て牌を作りながら、西、北を一枚ずつそろえたところで、親が中と白をポン。發は親が2巡目に切っているから役満の心配はない。親のポンで東が入り、
899 345 東南南西西北北
という形。11巡目に待望の東をゲット。この役満に一番いらないのは899のマンズだ。この時実は北家が47万待ちのタンピンドラドラを張っていたのだが、俺もマンズの中盤はヤバイと感じていた。そこで、当たり覚悟で8万切り。こうするとかえってマンズの出がなくなるという効果を期待した。この時点ではもう役満以外は、チートイすら考えていない。

 次巡8万ツモ切り後、北家のツモ切った東、西をポンして9万の対子落とし。南、北待ちだ。直後、白中ドラ1を北単騎で張っていた親が南をつかんで役満打ち。配牌時の直感は大事にすべきだ。

リーチで逆転しろ!


 基本的に張ったらリーチ、なんて思ってる人もかなりいるだろう。それは実は上級者にとっては結構怖いようだ。でも、やっぱり爆発力なんかの点で劣ってしまって、中級以上の人には即リーチは、短期的には有効であっても、長期のスパンで見ると効かなくなってくる。

 リーチをかけるべき手の姿、それともっと重要なのはリーチをかけれる手にいかにしてもっていくかだ。そこを何となくパターン認識できるようになれば、かなり勝率もあがると思う。聴牌即リーをかけれる場面の認識、って換言することも出来る。。

 あと、リーチをかける前には初心者にとっては、フリテンは注意だ。フリテンリーチをかけても要はツモれば良いのだが、この辺がわかってないとはっきりいって致命傷だ。リーチ前の摸打の段階で、フリテンになっていないかどうか気を付けたほうがいいだろう。これは一色系の鳴きにも言えることだ。中級者でも意外とフリテンチョンボする人が多いので注意。

その1

3345 34568 2257  ドラ3m

 これは俺の南2局7巡目の西家の手牌。トップの親とは1万点差。しかも、ツキのない南家は残り2900点。マンガンツモあがらないと逆転はできないのは当然として、ここは南家を飛ばしてトップといきたいところだ。ここにツモは6ソー。絶好のツモで聴牌だ。

 ドラ切りリーチでツモればマンガン確定だ。でも捨て牌にはピンズが全く出ていない。カン3ピンをずばりツモる自信は全くない。ここで観戦者5人を意識した俺は(笑)、8ピンを切った。1シャンテンに手を戻したのだ。見てる方も面白がってくれるはず!!123456万、12345678ピンで再度聴牌できるというものすごく良い形の1シャンテンだ。7ピンツモならばカブったことになるが、その時はドラ切りフリテンリーチと行こう。

 もちろん、本当の狙いは4万ツモでタンピンイーペードラドラである。親はドラ側出してこないだろうから、張ったらリーチである。しかしあいにく予想に反して次にツモってきたのは5ピン。しかし元の手に比べて待ちがいい。これ以上伸びないから、メンタンピンツモドラ1、裏期待、で十分と見てドラ切りリーチ。

 345 34556 22567 の47ピン待ちだ。

 結果は俺の思い通りに7ピンツモ!しかも裏は3ピン!これで逆転サヨナラだ。ツキが明らかにない人の飛ばしを狙うのはいい感じの流れだった。

その2

55578 22289 678   ドラ8s  この手に8万ツモ。南3局東家、10巡目の手だ。ちなみにドンラス。トップの親とは3万点離れている。並みの手で聴牌はしたくないし、この手は勝負とみた。ペン7ピンのリーチかけて一気に攻めるか?

 みんな早そうに見えてたが、まだ聴牌はしていない感じ。もう1巡頑張ってくれ、と、俺は9ピンを切った。タンヤオを確定させたのだ。しかも俺の狙いは678の三色にもある。89から9を切って6ツモを待つというのは俺がよくやる形だ。意外と活用の場はあると思うので、使ってみてはどうだろうか?

 その後、6万をツモって打8万。8ピン単騎の仮テンだ。次巡裏目ったことに7ピンツモ。容赦なく鳴かれなそうな2ピン切りリーチ!そして見事6ピン一発ツモ!裏が6万に乗って倍満!しかも、トップ目はこの時 123 12378 12388 の奇麗なピンフ三色ドラドラを俺が9ピンを切った直後に聴牌してた。8万ツモで8万ツモ切りなんかやってたら、打ってる場面であったのだ。

 ともあれ、この8000オールで俺はトップ目になり、オーラスでノミ手をあがってトップを手中にした。

その3

125 23678 23455  ドラ4万

 余裕のトップでこんな手なら、クイタンまで視野に入れて軽く打てることだろう。しかし、これはトップと7000点差の3位、しかもオーラスの南家の手である。8巡目4ピンツモ。ようやく両面が入って、一応聴牌手になった。上級者に混じっての対戦だっただけにそう簡単にはトップは取れなそうだ。

 最高の打ち筋は多分1万切りだが、2位の西家にマンズホンイツの雰囲気があった。しかし、ここは降りるわけには行かない!ラスまでは遠いから、ラス転落の心配は少ない。前述の通り、通常のウマだと2位、3位間の差が一番大きい。ここは何としても2位にはなりたいところだ。

 俺は8番目の捨て牌に5万を選んだ。西家にホンイツが当たるのは覚悟の上の打牌である。もちろん、ペン3万でリーチはない。ペン3万待ちでリーチをかけるのであれば、初心者と何らかわりはないのである。俺が目指すはドラ引きの三色である。

 結果は多少つまらんのだが、西家がマンズの234、678なんて鳴いたんだけど、マンズを切り出してきて、どうやらタンヤオの気配。タンヤオドラ1ツモなら確かトップになれたはずだ。不気味な親は白を暗槓してきた。突っ込むしかない俺にとってはチャンス。しかし、カンドラは4万で乗らず!

 12巡目、3ピンツモ。何となく打ちにくい牌だっただけに、ここは安全牌の1万落とし。もちろん、ドラ引きなら3ピン勝負だ。更に次巡1ピンツモ。裏2種類期待の25ピン待ちピンフのリーチで2万を勝負!これが通って2巡後くらいに2ピンツモ!期待の槓ウラは何と頭の5ソー!マンガンでトップ確定!

その4

23468 3444 5556  ドラ1万

 南3局、トップの西家と9000点差の2位の北家8巡目に上の手にツモってきたのは7ソー。7万なら絶好の聴牌だっただろうが、カン7万待ちになってしまった。ちなみに3000点差の3位の親はちょっと速そうな気配。

 南3局というのはボウリングでいえば9フレ、つまり、ファンデーションフレームだ。オーラスにどの位置にいるかで楽になるかならないかが決まってくる。初心者・中級者の人にとっては全然気付かぬ内に過ぎ去ってしまうのかも知れないが、かなり大事な一局になっていることが多い。

 実戦では、北家は3ピン切り即リーと出た。俺ならここは3ピン切りダマテンだろう。ここはダマを張ることで、攻防兼用のケースなのだ。3ピン切りリーチでは、出アガリ2600点、ツモで1000・2000と、全然トップに届かない。ここでは最低でもトップとの差を1000点くらいに縮めることが、オーラスの展開を楽にすることだろう。要するにアガリトップの状況まで視野に入れるべきだ。

 それと、せめて出やすい待ちにしてリーチをかけたいところだ。この形で受かる牌は沢山ある。145678万と58ソーだ。仮に68万を重ねれば、変則3メンチャンのリーチになる。5万ツモでも3メンチャンのリーチである。58ソーツモなら単騎の待ちが選べて、ドラで受けてマンガンツモも可能となる。

 北家がリーチをかけたのはダマで張ってる内に7万をツモってしまうことを心配してのことだったのだろう。ツモってしまったらタンヤオツモだけだが、こういうケースでは俺なら7ソー切りリーチと行くだろう。3メンチャンのフリテンリーチは勝負として悪くないと思うからだ。出あがりの効くものの、引っかけも何も無しのカン7万待ちはやはり見劣りする。

 結果論になるかも知れないが、トップ目が北家の現物である3万を打って、その直後に親がカン3万でリーチ。対子落としだったトップ目は安牌がなくなり3万を打って親に7700を献上。2位の北家は3位に転落してしまい、しかも勢いづいた親がこの後手の届かない点数になってしまった。哀れ北家はこのまま3位に終わってしまったのである。出にくい待ちはやはり不利なのだ。

その5

14567789 345 29  ドラ6ピン

 東4局4巡目、トップの南家と11000点差の2位の北家の手牌である。この手に9ソーをツモってきて、頭が出来た。こういう場面ではとにかくトップに追いつくことが大切だ。つまり差を10000点以下に抑えるエリアにいれば、マンガンツモでいつでも逆転の可能性を持てることになるからだ。

 ここでR1700台の北家は、打1万とした。効率的な受け方である。捨てる候補は1万、7万、2ソー、の3種で一番端で使えないのが1万だからである。ピンフイーペーコーで14ソー待ちというのが彼の狙いだろう。この辺は趣味の問題でもあるが、但し俺は4巡目と早い巡目に形を決めるような打牌はかえって効率性を害すると考える。

 ここはあっさり2ソー切りだろう。ツモに聞かないと最終形は浮かんでこない。実戦ではこの後3ソーをツモって聴牌。6巡目には14ソー待ちのピンフのみをあっさりツモあがっている。但し23万とドラが山にうじゃうじゃあったことを考えるとちょっともったいない。123456とか456789の形が手にあれば一通を強く意識した方がいいだろう。

待ち牌看破


 捨て牌から待ち牌を当てる。または通る牌を見付ける。これは麻雀の楽しみの中でかなり大きい部分を占めているんじゃないかな?でも、何しろこの分野が一番麻雀の戦術では難しい領域だ。

 この辺は本当はあまり解説のしようもない部分が多い。まずはそれぞれの人の癖を見付けること、特にダマテンになった瞬間などは結構何かしらのシグナルが出てることが多い。もちろん、この辺は東風荘では全然見ることはできない。だから東風荘で一番難しいのは読みなんだと思う。東風荘で読みが完璧だと言える人は、個人的には相手にしちゃいけないと思ってる。イカれてるとしか言いようがないからね。ほんと、そんなこと考えてるだけで時間の無駄だよ。

 東風荘で読むというのは単に捨て牌からだけ読むということだ。実戦ではそんなことはまずない。捨て牌以外に情報がなければ、かなり読みは限定されるからだ。まあ、要は、東風荘であんまり凝った読みはする必要はないってことだ。仲間内でリーチかけるかどうか迷って時間がかかるとか、聴牌するとチャットが少なくなるとか、いろんな特徴をつかむことも出来るだろうけどな。

その1

 オーラス1本場、マイナス12000点のラス目の西家のリーチだ。

9万 西 2万 南 中 中 1ソー(リーチ)  ドラ8ソー

 こんなリーチをかけられて困らないようにするために、読みの基本をちょっとだけ考えてみる。最初に言っておくと、読みのアプローチは相手の捨て牌と自分の手牌を含めて考える方法と、自分の打ちたい牌からアプローチしていく方法がある。後者が簡単だが、その前提としてある程度相手の手牌を想定しておく必要がある。

 1ソーだけはツモ切りだ。ツモ切りかどうかというのは非常に大切なところである。ツモ切りならば、その捨て牌に意図・作為がないってことだし、手出しなら、その捨て牌に意図的・作為的な何かが潜んでると考えていいからだ。

 まず最初から見ていくことにしよう。まず、全体としてピンフ系ではないかと読むのが妥当だろう。数牌を大事にしてたということだ。何より中の対子落としがそれを物語っている。しょっぱなの9万切りは679の形から切る形が多い。また、孤立している可能性も捨て切れないが、67万があると考えていた方が安全だ。

 9万より西の方が大切だったということは、他にも字牌が存在していたことをにおわせる。但しここでは5巡目からの中の対子落としがそれを立証していると言える。次の2万は、マンズの下があることをうかがわせる。しかも9万よりは大切だったとすれば、67万よりも23万の存在の可能性の方がはるかに高いだろう。

 次の南は場風だ。自風よりも場風を大切にしてたのは、よくわからんけど、前巡あたりにツモって来て一応抑えたのだろうか?とりあえず、意味は不明だ。中の対子落としはタンピンもしくはピンフだろう。1ソーツモ切りリーチということは1巡回したということ、あるいは1ソー切りリーチで出やすくなるからである。

 結論としてはタンピン系の可能性が高く、しかも、待ちとしてソーズの23あたりの待ちはなさそうかな?ってことくらいだ。でも、これは中級者以上を対象にした読みであって、初心者がかけるリーチははっきりいってよくわからんのだ。

 初心者が早いリーチをかける場合は待ちがいい、あるいはドラがあって待ちが悪い、というケースが多い。逆転などの可能性もあんまり考えていないことが多いが、ここでは慎重に読んでみる。3位狙いならばマンガン程度で届く。従ってマンガンだと仮定しよう。するとやはり役としてはタンピンドラ1、なんていうことが一般的だろう。

 俺がこの時想定してたこの人の手牌は
33678 xxxxx 234
という何となくって感じの形だ。ピンズは真ん中に寄っているのかも知れないし、ソーズの上待ちもあるのかもしれない。ピンズはあるとすれば3メンチャンなので、こればかりはどこが待ちなのかさっぱりわからない。

 トップ目で南家の俺の手牌は
789 456678 4567
で、一発目で5ピンを持ってきた。さあどうするか?6700点差で300点沈み2位の北家はこの4巡目からずっとツモ切り。しかもこのリーチには突っ張っていく方針みたいだ。

 正直言って待ちはさっぱりわからない。俺は聴牌を維持することと、手の内6ピン2枚と7ピン(河にも1枚あった)の壁を信じて8ピンを打った。ここで唯一の現物である9万を切っていくようではいつまで立っても中級の壁は破れない。6400点浮きの俺はマンガン打って西入するくらいで、それ以下なら恐れることはなく、明らかにトップ確定なのだ。

 二発目、6万を持ってきたので、現物の9万切り。丁度ダマで当たれる形に変化した。そして、三発目、2ピンを持ってきた。正直言ってかなり本命だ。これは俺の手の内で合計3枚もあるってことは、他の人の手牌に入っていない、つまり待っている可能性が高いということだ。しかし、相変わらず安牌のない俺は2ピンツモ切り。ピンズだって47もあれば36もある。わかんねえなら自分本位に打つしかない!

 結果は
567 2334488 234
で、俺の高め7700+300の振り込みになった。しかしこの振り込みはあまり痛くないのだ。常に振り込まないなんて、イカサマ師以外にはできないしな。36400点の俺は28400点で29700点の北家とはほぼ同条件で次を戦える。しかもわかってると思うが、西1局は俺は親なのだから攻めに転じるには好条件と考えた方がいいだろう。要は生きてさえいれば考え方次第だ。

 結果論になるが、西一局、俺はリー棒を出させての1500点を出あがってあっさりトップとなった。

その2

1p 1s 1s* 8p 3s* 東
3s* 9p* 6m 西 7m* 4m
9s 7s 3s*(リーチ)

 ちょっと見にくいかも知れないけど、15巡目リーチである。東2局西家、トップと9000点差の2位だとする。ドラは白だ。さて、この待ちは?「*」はツモ切りを示している。じっくり考えよう。

 東や西を引っ張っていることから、どうも字牌持ち系の手牌じゃないかとまず疑ってみる。一番本命なのは25万あたり?マンズが3446から切られたような形にも見えるからだ。

 あと58ソーも切りにくいところだ。最後の3ソーツモ切りリーチも何となく変な感じがする。2ソーとドラのシャボかも知れない。実は白は見えておらず、發は1枚場に出ているだけだ。他の字牌は大体出てるからなさそうだ。

 とにかく字牌がありそうで、字牌がないとすればタンピンだろうか?以上の読みは実は全部空振りで
113355 44 88 白白發 
のチートイドラドラだった。ここで字牌を切れると思う人はまだまだ勝てない。河を見渡す前に「チートイドラドラが第1~2候補」と分かれば、中級は合格である。白と發以外に、1万、2ソーなんかで待つのもありうる。その辺を注意していけるようになれば大したものだ。

 チートイツの捨て牌の一般的特徴として、ヤオチュウ牌が後に切られるケースが多いことと、中張牌のダブリがあることなどが挙げられる。但し、上級者はわざと字牌から切っていってチートイくささを消したり、出そうな中張牌で待ったりすることもあるから、その辺は周りの状況を考えて当たり牌を推理した方が良い。中級者以下だと大体、ドラか、字牌待ちというのが多い。

その3

1m 5s 1s* 5m 5s* 9p(リーチ)

 こんな6巡目リーチがあったとしよう。東1局南家の捨て牌である。ドラは4ピン。この待ちは何だろうか?

 1巡目の1万は134の形からの打ちではなさそうだ。4巡目に5万を打っているから、むしろ孤立牌だったと考えられる。周辺にあったとしても、1455の形程度だろう。俺としては1579みたいな形からの1万切りと見る。従って1万は無視だ。次の5ソーはやはり早めの処理か?455あるいは556からの一丁落としかも知れないし、235、578からの落としかもしれない。5万よりは利用価値が低かったということも考え合わせると後者が妥当だ。

 5万は455の形から、あるいは579の形から落としたと考えられる。とすれば、先程の推理と合わせると、実は上の三色は警戒すべきだろう。5巡目の5ソーは平然と切っているところをみると、むしろ5ソー利用価値は全くないのだろう。この辺でカン8ソー待ちはなさそうか?

 最後に9ピン切りのリーチ。こういうケースは大体、中級以上の場合、ソバテンは嫌うものだ。俺なら素直に7899や679といった形からの9落としと見る。どうもそうなると、当たって高いのは789の三色だということになる。迂闊に上の牌は出しにくい。あと字牌の可能性は薄い。上級者ならば、字牌が一枚も出ていないのに字牌待ちは普通の人には仕掛けて来ないはずだ。余程自信のあるリーチと見た方が良い。

 但しこれは当たって手役が付いてると読んでるからで、ドラそばなんかもかなり打ちにくいはずだ。但し、ドラ受けを待たずに即リーチなので、おそらく既に持っていると考えるのが妥当かも知れない。いずれにしても、上に偏っているのは確かで、俺の本命としては早めに捨てられたキー牌の5ソーから8ソー、2枚目の5ソーから7ソー待ちも連想させる。初心者なら69ソー待ちもありうる。5万の筋の8万も怪しい。

 実は
789 23478889 89
のペン7ソー待ちのリーチだった。この3巡後、親が8ソー切り14万14ソー待ちの追っかけリーチ!親の捨て牌も字牌が高く、高い字牌を3種持っていて、しかも5ソーを1枚抱えて壁を頼った北家が7ソーをツモ切ってマンガン振り込みとなった。

★★★最後に

 このように捨て牌読みというのは大体にして結果論のように見られがちである。しかし、相手の手牌を懸命に推理することは面倒かも知れないが、一方で楽しい作業でもある。これは読みの土台というべきものであって、自身で牌譜を取り、そこからいろいろなリーチのケースを拾ってきて牌姿を推理していくのが一番手っ取り早い方法だろう。

 Rが低い人はこういう傾向、R高い人はこういう傾向、といったことも少しはつかめてくるはずだ。俺が牌譜を見ていると、なんだかんだいっても、Rとの相関関係はかなりあると感じている。

 そうやって相手のレベルを見切れるようになれば、立派に初心者は卒業である。自分のレベル以下の人間は判断出来るようになっているということは、言うまでもなく上達した証拠だからだろう。

 後は実地訓練を受けるのが良い。といっても、俺としては誰かに教わることなく、工夫を重ねていく方が、強くなるのはちょっとだけ遅くなるかも知れないけど、麻雀の楽しみ方が少し増えるような感じがする。ましてや、自分のスタイルに合わない麻雀(ここではスタイル抜きで明らかになっているところを扱ったつもりだ)を打つ人間に教えを乞うなんて、アホなことにならんとも限らんわけだ。

 麻雀に個性があった方が観戦してる俺らとしても、非常に楽しい。あ、こいつはよく突っ込んで行くな、とか、こいつは三色好きなんだよ、とかな。だから、自分のスタイルを大切にしながら勝てる麻雀をしていって欲しい。

 麻雀に絶対という場面はほとんどないのだから。

99.8.5
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