7.合格後の生き方(その2)


| 前へ | 目次 | 次へ |

 

 就職のところでも述べたように、第2次試験って奴を突破した暁には、大体の野郎が監査法人に勤務することになる。監査法人に就職した連中の話などは前述した通りであるから、そうでない生き方を検討してみることとしよう。

 

 普通、監査法人に行かなければどういうところに就職するのかってえと、コンサルティング会社やら金融機関なんかが多いであろう。もし、あなたが合格後にこんな感じのところに就職することなんかあるかい!と思うようであれば、もう一度自分のはみ出し度を計算してみよう。といっても、計算なんかできっこねえんだけどさ。みんなが監査法人に行くのを横目に、自分が行きたいからそういうところへ行く、と考えられる人は充分にはみ出していると自負してよいだろう。

 

 さて、まず、コンサルティング会社であるが、俺の知り合いではやはりこういうところへ行ってる連中は少ない。知る範囲で述べると、監査法人付属のコンサル会社みたいなところへ行くと、年に1週間くらい監査の現場に出る以外、あとはSEみたい仕事をやることになるらしい。SEを目指す人にとっては非常においしい仕事なのかも知れない。ただ、ご多分に漏れず、労働時間は非常に長く、かつ、給料は安いとのことだ。安いといっても、監査法人にいるぐうたら会計士補に比べれば高いほうである。

 

 3次試験を受けるための条件もきちんと揃えてくれるケースも多い。この苦しい時期を頑張って乗り切ると、いわゆる「電脳会計士」として外部でもちったあ通用するようになると、コンサル会社の管理側は言ってるようだ。俺的には、パソコンと一日中関わって、しかも無償労働の多いこのような会社はパスだが、そういう環境が好きな方はどんどん行くとよいのかもしれない。

 

 次に金融機関である。銀行・証券・生損保と幅は広いが、会計士補が行くのは大抵管理や法務といった職種となる。もちろん、希望すれば営業にも行けるはずだが、俺の知る範囲ではそのようなケースはない。金融機関の営業で経験を積むことは、人脈を作る上でも非常に有効であると考えられる。まあ、これも、好きな人は行ってみるのも手だ。

 

 但し、注意を要するのは、このような金融機関の場合、会計士補として入った先輩方が無能のレッテルを張られてしまっていて、何かと日陰にいることにもなりかねない。このような逆境を跳ね返すくらいの勢いを持って、仕事に臨む態度が必要である。

 

 今ひとつのおいしい就職先としては、トラック会社に就職するという手だ。運送業というのは、飛脚・駕籠屋・北前船の昔から体力が必要なものとして著名である。体力に自信のある人は是非挑戦していただきたい。トラック会社に就職し、運ちゃんとしての実力を高めると同時に、経営陣(社長のオッサン)に食い込むことを考えよう。そして、密かに民商法の知識に磨きをかけておこう。

 

 そののち、その会社の顧問税理士を追放し、法律を駆使して社長をも解任して自ら経営に当たることを考えてみよう。たたき上げ運ちゃん会計士であり、同僚の人望も厚いあなたは、トラック会社を乗っ取り、自ら社長として、利益を吸い上げ、遊んで暮らすことも可能である。もちろん、一国一城の主となったあなたが経営に力を入れ、会社を成長させ上場を目指すことも可能である。この際には、速攻で会社の株を売却し、一生遊んで暮らせるくらいの金を手に入れ、カリブ海あたりで優雅に過ごす人生というのも一局である。

 

 しかし、この道にも問題が残されている。解任された前社長が恨みのあまり暴力団等を引き込んで一戦交えてくる危険性もあるからだ。この場合にはこちらも対抗できるくらいの勢力を築き上げておくことが不可欠である。当然のことだが、このことに限らず、不測の事態に対応できるくらいの臨機応変な戦略眼こそが必要となってくる。俺的にはこのくらいのことができてこそ、プロを名乗る資格があると考えている。なぜなら、監査法人で代表社員になるよりも、独立してン千万稼ぐよりも難しいことだからに決まってる。

 

 プロとして自信満々な方々は、まずこの道に挑戦して欲しい。見事トラック会社の社長となったら、俺も兜を脱ぐことにするぜ。プロだから、なんだかんだとおっしゃるくらいなのだから、このくらい朝飯前ですよねー?!自信がおありでしょう?ね?だって、なんてたって「プロ」なんだからねー!

 

 あ、俺?俺はプロじゃなくてアマチュアだからさ!できないに決まってるじゃんかー!

 

 


| 前へ | 目次 | 次へ |

2000.10.25