5-5.はみ出し合格法(心のアフターケア編)


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 全日程が終了直後、じたばたとしたところで、もう合否のゲタは預けちまったんだからどうにもならんだろ?ってなこともあろうかと思うが、どうにもならんところにウジウジやる受験生も多い。まぁ、ウジウジして脱力感に襲われることくらいなら問題はないんだが、周辺の受験生に迷惑がかかるくらい落ち込む奴もいることから、正しい過ごし方を検討してみよう。

 

 よく言われることであるが、試験が終わるとすぐに解いた問題の検討に入るという暇な連中もいる。しかも、何日か後には学校で解答速報会とかいうもんもある。ここではそんなもんに参加することはお勧めはしない。合理的に考えてみよう。本試験の復習なんぞしたところで、来年は同じ問題は出ないわけだしよ。あんまり意味はないような気がする。っていうか、再来年も受けるってんだったら止めやしねえぜ!?まぁ、せいぜい解答速報を見るくらいで止めといた方が精神衛生上も何かとよい。

 

 解答速報でも見ないと不安なのは計算問題くらいだろ?その気持ちはわからんわけじゃないが、他の理論みたいなところは専門学校の解答が正しいかどうかなんてわかりゃあしねえ。高校受験のときの予備校の解答とは問題のレベルも解答の精度も違うってことくらいわかってねーのかねぇ?俺の経験で申し訳ないが、専門学校の解答なんざ、どう考えてもおかしいってとこ、結構ボコボコあるもんだ。資料を見て作ったにしてはお粗末なもんとか、結構あるだろ?

 

 そもそも、解答を見ないと、または解説を聞かないと不安であるって方々が劣っているといってわけじゃあない。そりゃあ普通だ。でもさ、いてもたってもいられないってところまで行くと、はっきり言って受かってる可能性は比較的低いというべきだろう。専門学校信者の方々もよくわかってるはずなんだがなぁ。よく言われるだろ?「みんなが出来てるところが出来てりゃいい。」ってな。みんなが出来るところってのが、厳密に見てみると、計算問題のわけわかんねーところ以外と、理論で定義とか論点なんかがはっきりしてるところしかない。科目数が多いだけに、これを全科目にわたって出来るっていうのは至難の技だから、ちょっとくらいミスっててもなんとか合格は出来るって構造なのさ。

 

 「んなこと、わかんねーよ。みんなが出来るところなんかオマエなんかにわかるんかい!」と言われそうであるが、みんなが出来そうなところの見当もつかねえようじゃ、かなり危険なバクチをやってるのと同じだ。危険なバクチっていうのを一度くらいはやったことあるかい?そんな簡単にいかねえもんだぜ?丁半張っちまったら、もう後で四の五の言おうとどうにもなんねえ。いっそ覚悟を決めちまえば、目が出るまで楽しくやってけるってもんだろ。それがゲームってもんさ!

 

 大体もって、「みんなが出来るところ」ってのを勘違いしてる方々が多いもんだ。みんなが出来るっていったって当然のことながら全員が出来てるわけじゃねえ。わかるよな?俺の経験上、論文受けてる奴の8割強くらいが出来るところがいわゆる「みんなが出来るところ」だ。その辺の微妙な感覚を失っていると、試験終了後、いや試験中だって冷静な状態でいれない、つまり、落ちるって寸法だ。

 

 俺の知る限り、このみんなが出来るところってのを9割5分と考えてる奴から5割と考えてる奴までさまざまなのがいるが、低い方で考えてる奴ははっきりいって冷静さを欠いているぜ?現実的に不可能な数値だ。高いほうで考えている奴も同様だ。そういう奴は落ちてしまう。運良く受かったところで、この先不安だよなぁ。

 

 数学にたよって考えても同じことだ。仮に「みんなが出来る水準」ってのを80%、85%、90%に設定してみよう。ここでは単純に14問ある全ての問題に一つずつ合否を決定するような問題(=勝負問題)が一つずつあるんだとして、その問題でそれぞれ全体の80%、85%、90%に入ることを確率で考えてみようってわけ。簡単な確率の計算だ。つまり

(0.80)14 =約4.40%

(0.85)14 =約6.21%

(0.90)14 =約22.88%

だ。

 

 合格率ってのは論文だけ考えれば、22.88%が一番近い数字だ。だが、また冷静に考えてみて欲しい。論文試験における分布の落とし穴がある。点数を横軸に取って人数を縦軸に取ったグラフを頭の中で想像してもらうと、みんなが思ってるようなヒトコブラクダの背中みたいな分布って本当は短答式の時に存在するもんだ。その短答式の結果を上位3分の1のところで切って貼ったのが論文式の分布だとしておこう。ヒトコブラクダの背中にゃあならねえよな?

 

 そうするとどうだ?結局は短答のときの分布でいう上位7~8%に入るくらいの勢いがなくっちゃあやってらんねー!しかも元々出来る奴は短答~論文の間、そんなに伸びは期待できねえが、運良く短答通って頑張る奴の追い込みは激しいはずだ。そうすると、短答のときの分布図を単純に切って貼ったもんよりも、ちょっとだけタイトな分布になる。となれば、俺が書いた8割強っていう数値は、おぼろげにしか物事を考えてねーときよりかよっぽど現実味を帯びてくるよな?!

 

 俺の話がどうしても納得できねえっていうんだったら、とにかく「8割」っていう数値をドタマにブチこんでもらいたい。14個のトラップを全て、上位8割でクリアすれば何とかなるってことだ。ちったぁ安心できるだろ?その安心のために俺はこんな計算を試験期間中にやってたチキン野郎なんだがね。(笑)

 

 さて、話が変わるが、試験が全部終わって、学生受験生、無職野郎、社会人と、形態は違えども解放感にあふれている。一生のうち何度かしかない解放感を感じるひとときだ。有意義に過ごそう!先述の通り、試験のことなんぞ忘れちまうような遊び方がよいだろう。たまに試験が終わって家に直行して自分の答えを検討しだす方々もいるようだが、まあ、それが楽しいっていうんならとめやしない。一人で悶々とすることが少ない人は、これを機に引きこもってみるのも人生の貴重な経験となるだろう。

 

 一般的には受験生同士、そのまま昼間っぱらから飲みに行くものだ。昼から飲む酒は、試験が終わった解放感も相まって最高にうまい。まるで1週間禁煙した後のタバコのごとくだ。あるいは金のある人ならば、よからぬ遊びという選択肢もあることだろう。とにかく、引きこもりだろうと飲みだろうと、非常に楽しい一日になることは請け合いだ!とにもかくにも、楽しまなきゃ損だぜ?!

 


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2000.9.7