5-3.はみ出し合格法(論文編)


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 論文式は短答式試験と結構違う雰囲気をかもし出している。短答式の時はおちゃらけた野郎や何でこんな試験うけてんの?っていうネーちゃん、あるいは君、それは顔の色も髪の色も違うだろ?なんて人なんかが沢山存在している。しかし、論文式では結構マジな奴が多い。ってのは当たり前なんだけどさー!なにしろ、せっかく1年勉強してきて(ってか実質的には多分半年くらいだろ?)、ここで失敗したらまたもう1年間受験生っていう身分にならなきゃならないんだから当然だぜ。

 

 そのマジな雰囲気の中では、ちょっと気の弱い人ならば倒れてしまうのかもしれない。そして、おつむの弱い人ならば落ちてしまうかもしれないってわけだ。おつむが弱いっていっても、おつむってのは使いようだ。使い方によっては強くも弱くもなるもんだ。そこで、論文式試験の現場でどのような行動をすべきかを述べていきたい。

 

 まず短答式と決定的に異なる点は朝が早いということである。つまり、遅刻の危険性が高い。無論遅刻しても30分は何とかなると思うんだが(あくまで思うだけ。30分後に入ってきた奴は見たことがないのでね。。)、前述のように1年という時間をかけての挑戦だけに時間のロスは大きい。仮に少なく見積もって半年勉強してきたとして、たった14時間で全ての科目の試験が終わる。要するに10分の遅刻は1/104、丸々36時間分(要する1週間分)くらいに相当するわけだ。もったいないから遅刻なんかしないで早めに現場に到着することにしよう。

 

 俺はなるべく早く行くように心がけていた。6時には起床して8時前には現場に到着するようにプログラムを組んでおいた。さすがにぐうたら受験生の俺としても、この日ばかりは適当なことをやってられないってわけだ。7時半くらいに着いて、そこから直前の見直しに入るという寸法である。

 

 直前の見直しの時間ってのは、点数に直結してくる。点取りゲームをやってるものとしては、前日少しくらい投げ出して早く寝ちまっても、本番直前に勉強するがよりよい攻略法と言えるだろう。実際、朝早く現場に到着するとすでに相当数の受験生が来ているはずなので、

「オマエなに早くきてんだよ?バカじゃねえの?そんなに試験がこわいんか、このチキン野郎!」

などと本試験会場でケンカを売られることは皆無であるといってよい。

 

 また、論文式試験では専門学校のバイト連中がパンフの配布を行っている。ラッキーなことに大抵オマケつきだ。パンフのほかにもボールペンやら予想問題集、挙句の果てには合格まんじゅうといった変わったものを配っている。

 

 早めに着いてこれらのアイテムを可能な限りゲットしておくことをお勧めする。ちなみに俺はボールペンを多数重複して受け取ったために家中ボールペンだらけになり、さらにそれが友人の家を侵食して、俺が泊まりに行くような場所には必ずといっていいほど学校のロゴ入りのボールペンがおいてある。まあ、大抵はカードやら麻雀の結果を書くためのボールペンとしていまだに愛用されている。

 

 こうして試験のときを迎えるわけだが、試験の15分前くらいから試験官からくだらねえ受験上の注意なるものが語られる。この時間、俺は最初黙って聞いていたが、時間がもったいないので途中からは聞くのをやめて、教室の外で勉強をしていたもんだ。この方法をとっている者は多く、合理性の観点からお勧めだ。

 

 また、たまに机が揺れるとかいう話をよく聞くんだが、俺の経験上顕著に揺れるような机はない。落ちたときの言い訳の一つとなるわけだが、机で落ちる試験なぞ聞いたことはない。もし、机が最大で左右に30cm動いたり、床と垂直の方向に6,7度くらい傾くようならば、その旨試験官に訴えよう。机心配組必須のアイテムとしてそのときに使うために分度器と長い定規を持っていくことをお勧めする。もちろん、

「ほらー、こんなに傾くよ!」

って試験官に証明するためであることは言うまでもない。机の揺れについていえば、試験の前に一応チェックをしてあるはずなので、そんなにものすごいものは残っていないと思われる。

 

 またまた試験当局のためにも明らかにするが、時折机の上にいたずら書きが残っている場合がある。試験当局はその辺をチェックしていないものと思われる。よってそこにみなさんが何らかの書き込みをしても構わないということであろう。受験上の注意なる項目でもそのことは全く注意されていない。あまり効果はないだろうが、よほど不安な定義などあったら机に書いておくべきであろう。補習所の考査(っていうか要するに定期試験みたいなもんだ。日銀考査とかとは全然関係ねえよ。)でもそのような手を使っていた奴がいたので、有効な手段なのかも知れない。当然のことだが、無用なトラブルを避ける意味でも、試験時間が終了したら机に書いたものはけしておく必要がある。

 

 また短答式のところでも述べたように、近年の情報技術、ネットワーク端末製造技術の進歩により、大量のデータを瞬時に伝達することが可能になっている。論文の場合、専門学校の講師よりを使わずに、短答式を落ちた受験生の友人を使うことによって、先の戦術はかなり現実味を帯びてくる。商法などのように典型的な論点から出題された場合、即座に問題を打ち込みメールで送信する。この際、当然のことだがトイレへ行く必要があるが、受験生の友人から返信があった場合またトイレへ行くこととなるため、非常にハラが痛い振りをしておくなどの措置を施しておくべきであろう。

 

 少なくとも、メールをトイレで読むことができ、解答を暗記して再び席に戻るということが可能だ。本来ならば、パンツの中に隠せるほど超小型のプリンターで、携帯端末から、ものすごく小さいフォントで鮮明に、かつ静かにプリントアウトされることが望ましいのだが、残念ながらそのようなプリンターは見たことがないので、諦めるか、もしくは独自に開発・製造しなければならない。ちなみに独自に開発・製造を行った場合、このプリンターは各種試験を受験するものにとって必須のアイテムとなるため、かなりの需要が見込めるものと思われる。そのため、受験を一旦中止して会社を設立するのも一つの手であると思われる。

 

 念のために言っておくが、俺はこういう手段を用いたことがはない。したがって、誰かがこの手のことをやっていたとしてもおかしくない、俺はやってねえのに!という意味合いで述べている。

 

 他には、試験時間が終わると同時に筆記用具を置くように指示が出る。俺はそれにきちんと従って筆記用具を置いていたが、しつこい奴になるとそこから3分くらい書きつづけている奴がいる。一度、こういう経験があった。

 

 俺の斜め前のココリコ田中似のオッサンが原価計算の試験でそれをやっていた。俺も書き残しているところはあるのだが、ルールに従ってボールペンは持っていない。試験官もそいつが書いていることに全く気づいていない様子だった。俺は消しゴムを手に握り、そいつのボールペンめがけて投げつけてやろうと思った。俺の消しゴム投げの命中率はほぼ100%だ。その刹那、そいつの計算部分の答えが見えた。

「ありゃ?なんだこいつ。こんな簡単なとこ、解答欄間違えて書いてやんの!逆だよ、逆!逆に書いてあるんだよ!そのあと全部ダメじゃん!それじゃあ落ちるよな・・・。そうだ!そこに気がついて修正テープでも使おうとした瞬間にしよう、消しゴムで狙い撃ちするのは!」

と決断した。そんな重大なミスに気づいたところで消しゴムがどこからともなく飛んできたら、びっくりしちまうだろう?その顔見たさに黙ってタイミングをうかがっていたってわけさ。結局そいつは文章の部分を書いている途中で解答用紙の回収が来て、ジ・エンドだ。

 

 ルールくらいは守ってもらいたいもんだが、まあ、本人にしてみれば必死なのだろうから、次からは笑って許してやってたぜ。つまるところ、俺を含めて大多数の人間が解答を時間切れでやめているのに、そいつだけやってるのが許せなかったわけだ。しかも、ここが許せない最大の理由なのかもしれないが、制限時間後解答書きなんざ、何の芸当もねえからつまらん、俺としてはね。そんなことやるくらいならば、絶対に誰にもわからないという前述のIT技術利用の方がよほど面白いはずだ。

 

 さてさて、このような抜け道を何らかの理由で利用できなかったみなさんは、論文式試験の日程が一日終わると非常に疲れているものと思われる。ここで夕食をとるためになぜか新宿へ行き、そのまま歌舞伎町界隈をうろついて何かピンク色の看板のある店に入る、なーんてことやってたら、少なくとも他の奴に追いつかれてしまうだろう。したがって、せいぜい吉野家とかで夕食を取り、さっさと引き上げるなりなんなりすべきだ。前述のとおり、直前であればあるほど点取りゲームへの効果は大きい。普段勉強するときとは時間の重要度が100倍くらい違うんだ、という意識を持って行動しよう。

 

 例えば、家に帰ったとしよう。家族と同居の受験生の場合、お母様やらなんやらが夕食を用意して待っていてくれるものだ。したがって夕食に関してはそれほど問題はない。できれば、朝出かける前に自分の食いたいものをリクエストしておくとベストだ。夕食でマズイものが出ると人間やる気を失うものである。かくいう俺もそのタイプで、出張などにでかけると地元のウマイものを食わずには仕事なんてやってらんねえもんだ。

 

 稀に家族との仲が悪く、夕食の準備をしてもらえない受験生も散見される。そういうときは、次に述べるように一人暮らしの受験生と同様の夕食体系をとるべきであろう。

 

 試験中はダイエットもかねて夕食を採らない人もいるであろうが、これは体にも頭にもよくないことが科学的に立証されている。ダイエットは試験が終わってからにして、試験中はバリバリ食べることにするのがよい。簡単に脳味噌を活性化させる食事というのは、論文試験の時期だとうなぎであろう。コンビニによってはうなぎ弁当なんてものも売っている。そうでなければ蒲焼をスーパーで買ってきてレンジで暖めて食うというのが時間もかからずもってこいの食事となる。

 

 通常、うなぎを食うとビールを飲みたくなるものであるが、試験期間中にビールは禁物だ。どうしても飲みたいのであれば寝る前に飲もう。ただし、俺の知り合いで、試験期間中にビールを飲んだはいいものの夜中の3時まで飲んでしまって次の日はめちゃくちゃ、なんてことになった奴もいる。飲みすぎには注意しよう。

 

 また脳細胞を形作る栄養としては糖分があげられる。そこで糖分を取ることになるのだが、カネのある人はデカイケーキでも食うべきだろう。ケーキは糖分の王様である。通常の食い物の中では脳味噌を形成する最も効率的な手段かも知れない。カネのない人は栄養ドリンクでも十分である。甘ったるいほど効果がある。ユンケルなどが多用される傾向にあるようだが、もっと安いものでも十分だ。チョコレートを併用すると十分すぎるくらいの糖分を補給できる。砂糖本体を食うという向きもあろうが、吸収が悪いので注意が必要だ。

 

 食事の話で思い出したが、試験直前1ヶ月はなるべく魚の頭を食うとDHAが大量に摂取でき効果的だ。以前、力水という炭酸飲料があったが、最近ではとんと見かけないので利用することは難しいと考えておいたほうがよいであろう。

 

 長くなったので続きは次回に。

 


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2000.8.15