5-1.はみ出し合格法(服装編)


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 勉強方法でもはみ出してしまったみなさんは、本試験会場でもはみ出す覚悟は出来ているはずだ。まずは本試験の会場ではみ出すにはどうしたらよいか考えてみることとする。

 

 当然ながら、最初に俺が重点を置くのは服装だ。本試験会場は一応クーラーが効いているようだが、それにしても、場所によって暑いところと涼しいところがバラバラだ。自分が座って問題を解く位置は、最初の日はわかんないわけだから、寒暖両用の格好を準備していかざるを得ないのは前述の通りである。

 

 服装については、複数の観点から検討が必要である。まず第一に、服のきたなさという観点からこの問題を検討しよう。

 

 汚い服を着ていくメリットは言うまでもなく、周りの受験生に不快感を与えることにある。この点からすれば、臭い服を着ていくのがより効果的であろう。だが、臭う範囲は通常せいぜい前後左右程度であり、4人ほどの受験生を不快にするだけにとどまる。無論、試験会場全体を臭わすような悪臭のしみついた服を着ていくことも可能であるが、それだと追い出されることは必至であるので、止めたほうがよい。

 

 というよりも、自分も気持ち悪くなってしまう恐れのほうが大きいので、臭い服を着ていくのは下策と言わざるを得ない。また、受験生の友人もなくしてしまう可能性が大きい。今後のためも考えて、きちんと洗濯された服を着ていくべきだと考えられる。

 

 したがって、結論としては、服のみならず体も清潔に保つことが必要であろう。

 

 次に露出度についてである。これは特に女性の場合について検討を要する重要な事項だ。一般的には周りを挑発するかのごとき服装で行くのがよいと言われているが、それは果たして本当だろうか?

 

 確かに女性に慣れていない男性受験生や若造受験生には効果があるものと思われる。しかしながら、受験生というのは暇な連中が多いため、百戦錬磨の男性も少なくとも俺の周りには多数存在していた。そういう男性に対しては効果が薄いどころか、かえって彼らの勢いを増してしまう恐れがある。人間のオスというものは若いメスの生き血を吸って活動しているようなものなので、若い女性の肌を見たり触ったりすることによって、脳味噌の活動が活発化する効果をもたらすという研究も米国などで多数なされているところである(よくはしらねえがな)。中には、若い女性の声を聞いただけで記憶力やカンが高まる人もいるらしいので、かなりの注意が必要であろう。

 

 したがって、オッサン化している男性が受験生の中に多いこともあいまって、周辺の受験生の脳を活性化する方向に働く可能性が大きいため、普通の格好で受験をすることをお勧めしておく。出来れば、蚊も刺せないようなジーパンなどで受験したほうがよいのではないだろうか。

 

 男性の場合、露出しているからといって周辺に何ら影響を与えないので、自由な格好で受験するとよい。だが、全裸に近い形で受験するとこれまた試験会場追放措置の対象になる恐れが多いので、せめてシャツと短パンくらいは着用するべきであろう。当然ながら、これは女性についても言えることである。

 

 服装については基本的にこんなところであるが、基本的に暑い時期の受験となるため、電車等で異動するときのことを考えて軽装で出かけることになる。そこで、俺が考案した受験に最適な格好を紹介しよう。

 

 原則として、論文式の試験の前には髪を切りに行くのだが、前述のように、原則としてはスキンヘッドとしておくのがよい。スキンヘッドにあった服装で非常に涼しげなのは、坊さんの袈裟である。どこで入手できるのかは知らないが、それに類似した格好で受験に望むのがよいであろう。

 

 奇抜なものを求めるのであれば、世界を見回してみるべきであろう。もっとも暑いところでの活動に適しているのはアラブ人の格好ではないかと俺は思っている。したがって、賢明なみなさんは、短答式試験の発表があり次第、アラブ人街をのぞいてみよう。残念ながらアラブ人街が近くにない場合は、インターネットで通信販売をしているところもあるので、そちらを利用すべきである。目標としては、やはりアラファト議長であろう。

 

 日本人は気合を入れるときに鉢巻をする習慣があるが、鉢巻が脳の活動を活発化させる効果があることが医学的研究の中で立証されつつある。しかしながら、鉢巻をしてきている受験生は既に何例か目撃されているため、ここはアラブ人になりきって、ターバンまで巻いていくべきである。スキンヘッドが恥ずかしいという人には絶好のカモフラージュとなり、精神的にも安定することであろう。

 

 ここで注意しなければならないのは、アラブ人っぽくなるためにイスラム教を信仰する必要が出てくることだ。イスラム教では一日5回、メッカの方向に向かってお祈りをささげる必要がある。時間が決まっているのだが、少しくらいは、ずらしてもいいそうであるから、試験中でも信仰を保つことが可能である。一日の最初のお祈りは日の出前後であることから、早起きも宗教上の理由から出来ることとなり、受験生にはもってこいの宗教と言える。

 

 デメリットとしては、お祈りの文言を覚えなければならないという点だ。イスラム教ではアラビア語でお祈りしないとなかなかアラーの神様にはわかってもらえないようなので、アラビア語でお祈りをするように努めよう。また、スンニ派かシーア派かを選択しなければならないのも面倒なところだ。イランとイラクの違いを研究して決定しよう。服以外のアイテムも必要となるが、方位磁針付きの携帯用じゅうたんなどは日本でも販売されているので心配はいらないと思われる。男性であればヒゲを生やす必要もあるので、十分な準備期間を用意しよう。

 

 女性の場合はチャドルをかぶって顔が見えないようにすることが必要となる。これにより、前述したような周りのオッサン化した受験生の脳が活発になることを抑える効果があるので、非常に効果的である。

 

 このような服装が受験に最適である点について、不覚にも俺は去年まで気が付いていなかったため、残念ながら実際にアラブ人の格好で受験した経験を書くことはできないのだが、間違いなく周辺の受験生を圧倒することとなるため、十分な効果を得られるのではないかと俺は信じている。是非やってほしいと願ってやまない。

 


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2000.8.12