4-6.はみ出し商法勉強法


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 商法というのは、読んで字のごとく、商法っていう法律の問題を解くっていう科目だ。しかも、ラッキーなことに、会社法と商法総則・商行為だけが範囲になっているらしいから、1000何条もある商法全部を勉強する必要はない。

 

 さて、商法というのは短答式試験ではキーポイントとなる科目だけに、短答式対策をしなきゃならない。では、どうやってやるのだろうか。

 

 専門学校の講義なんか一通り聞いた時点で短答式対策に入るわけだが、これもちょっとだけはみ出してみる。

 

 普通短答式対策といえば、専門学校から与えられた短答式問題を解いてみる、程度のことしかアタマにねえだろう。俺としては、商法の短答式の問題は300問くらいは解けるようにしておいた方がよいと思っている。

 

 何百問か解いてるうちに、何をすればよかったのか、ってことが明確になってくるはずだ。そう、判例を片っ端から暗記してかなきゃならんよな。ここは超保守的に、「判例こそわが法律」と思って勉強するのが好ましい。

 

 反対説なぞなんのその。判例にまさる法律はないってわけだ。どうせ短答式試験にこのスタンスで対応できない問題が出てくる可能性は低いんだから、割り切ってしまえばいい。例え、出てきたとしても、論文式対策に重点を置いている受験生に比べれば、はるかに有利だから心配することはない。

 

 また、論文式の対策なんぞ、判例がわかった上でやったほうが効果はテキメンだ。判例を覚えた上で、短答式の問題を300問以上やってみる。え?そんなに問題があるのかって?材料はあちらこちらに転がってるぜ。司法試験の短答問題とか、司法書士のとかいろいろあるから、数百問くらいすぐに集まるってわけだ。

 

 最近はこういうことに気づき始めた専門学校が多数存在し、商法で高得点を取ってるんだろうと俺は見ているが、最初勉強するときから判例と一緒に勉強しときゃあ、短答式の前に苦労することもないから、これから商法を基礎からやり直そうなんて思っている人は、そうやってみるべきであろう。

 

 では、論文式の対策だが、これも●デル60とかその類の論証集を用いると非常に役に立つはずだ。ちなみに俺はこの種の論証を前の日に読んで、後は大体でたとこ勝負だったが、まあ、合格者の平均ちょい下くらいまでは何とか取れたと思っている。

 

 商法という科目は、論文式の勉強をするときには特に注意すべきことだが、自分が中小企業のオヤジになった気分でいるのが良い。中小企業のオヤジといえば、朝は出勤しているが、昼間はパチンコやったり麻雀やったりしてる優雅な人々であるから、決して「大統領のように働く社長」などを想定してはならないので要注意だ。

 

 まず始めに、中小企業のオヤジとしては、会社の設立から始める。ここはちょっとシャレて、友人と合名会社でも作ることにしてみることをお勧めする。しかも、友人とは名ばかりの、信用できない奴をパートナーにした方が勉強の上では都合がいい。そうすれば、責任をなすりつけようとする悪いパートナーとの熱い戦いが、商法の60条あたりから繰り広げられることになる。挙句の果てに、悪いパートナーとの商売はごりごりだ、なんてつぶやきながら、会社をたたんでみるといいだろう。そうすると、これまた400何条(だったけ?)あたりで抗争が繰り広げられるに違いない。

 

 さて、悪いパートナーにだまされつづけて、イタイ裁判を乗り越えてきたみなさんは、今度は株式会社でも作ってみよう。ここで注意するのは、金がそんな簡単に集まらないことだ。自分とカミサン、そしてカミサンのオヤジにも株を買ってもらっても、どうも自分の周りには貧乏人が多い。そこで、カミサンの元彼氏あたりにも株を買ってもらうことにしよう。また、借金だらけだが超有名な芸能人あたりに発起人になってもらうことにする。しかも、蛭子とか、かなり胡散臭い芸能人が狙い目だ。

 

 そうなると、胡散臭い芸能人が勝手に金を持ち出したり、カミサンが元彼氏と共謀して会社の財産を狙ったりすることもあり、挙句の果てに一緒に蒸発したりして、非常に面白いことになる。さらに、株券を道に落として泥棒に拾わせてみるのも一興だ。面倒な手続きがみなさんを待っているはずだ。

 

 そんな不運にもめげず、会社は成長し、株式公開の日を迎える。みなさんはオーナー社長なので、面白いことを沢山やってみよう。例えば、無額面株式や無議決権株式を発行してみたり、株式の額面を73,952円にしてみたり、インチキ子会社を乱立したりするのも楽しい。

 

 さて、公開企業のオーナー経営者たるみなさんは、とことん、あくどい儲け方を追求してもらいたい。また、いろいろな人を陥れて儲ける方法なども多数考えつくはずだ。商法の網にかかるのかどうか、試してみよう。

 

 さらに会社の代表取締役であるみなさんは必ずしも社長である必要はない。自分の会社の肩書きも工夫して楽しもう。「代表取締役監督」でも構わないし、「代表取締役第一書記」だろうと、「代表取締役総統」であろうとも何ら問題はないということを知っておこう。自分の部下にも「元帥取締役」とか「取締役宣伝相」などと、それ相応の肩書きを与えて、どれが表見代表取締役に当たるかを受験生同士で議論を深めることも、商法の学習には欠かせない要素である。

 

 ただ、このような議論を深めていっていると、他の人々から見て非常に異様な光景に映ることがあるので、注意したほうがよい。俺は夜中の12時から朝の5時まで、上記のような商法の議論をしていた記憶がある。予想外に議論の時間が増えることもあるから、十分な時間を準備して行うことをお勧めする。

 

 よく商法はボリュームが多いとか言われるが、その背景には上記のような勉強が必要だという事実が存在していることが主な理由なのではないかと思われる。

 

 ここまで来ると、もう商法は楽しくてやめられなくなるであろう。

 


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2000.7.16