4-3-2.はみ出し原価計算勉強法(2)
実は原価計算には自己暗示がよく効く。俺が知る範囲では「工場長になったつもりで問題を解け。」とかいうが、そんなもんでは原価計算の勉強は楽にならない。
また、自己暗示というと、怪しげなオッサンが「修行するぞ。」とか連呼するのを想定してしまうわけだが、別に原価計算にはそういう修行は必要がないので、ここでは考えない。ここでいう効果的な自己暗示というのは次のようなものである。
まず、最初にアメリカの風景を想像してみよう。どうしても想像できない人はアメリカの映画を見るべきだろう。映画でも、「13日の金曜日」とか「ザ・フライ」とか「エイリアン3」を見ても原価計算とはあまり関係がないため効果が半減してしまう。俺がお勧めする映画は20年代くらいのチャップリン映画だ。あの萩本欽一氏も尊敬するチャップリンの映画であるから、欽ちゃんの原点の一つをついでに探ることもできるので一石二鳥だ。欽ちゃんが嫌いな人でも、受験勉強の一環なのだから、我慢してみよう。
さて、チャップリンの映画を見てアメリカの雰囲気をつかめただろうか?あるいは気の早い人ならばアメリカを旅行してきちまったかも知れない。とにかく、アメリカが想像できるようになったとしよう。利益への飽くなき探究心を知ることが出来ただろうか?それが資本主義の原点なので、のちに述べる経済学を勉強するときも非常に役に立つだろう。
アメリカでは利益への探究心が旺盛だという点が重要なポイントだ。え?チャップリンの映画からはそんなことは微塵も感じられなかったって?そりゃ、わかるまで何十回も見るしか方法はないので、レンタルビデオで借りるのではなく、ビデオソフトそのものを買ってくる必要がある。まあ、最後に利益を出すためにはどうやったらいいのか、って点を考えることができる脳味噌の風土ができればよろしい。
次に、自分がアメリカ人であるという暗示を行う。名前を付けてやると一層愛着が湧くだろう。このとき注意すべきなのは、「こうじ」とか「あつこ」といった日本名を付けてはならないことだ。ましてや、「キムジョンイル」とか「バカーチン」とか「スハルト」などというアメリカ人はそうそういないのでやめておくのが無難であろう。そこでなるべくかっこいい名前を付けることにしよう。ついでだが、より具体性を高めて暗示を効果的に行うため、出身地も決めてしまう方がよい。ミネソタとかオハイオとか適当に決めよう。親の職業や、家族構成、恋人の名前なども決めてもよいが、それだとただの二重人格者になる可能性があり、危険を伴うため、お勧めはしない。
これでみなさんも利益への飽くなき欲望を持ったアメリカ人になった気分だろう。さらに、そのアメリカ人たるみなさんがどんな業種でもいいが、メーカーのボードであるという暗示も加えて欲しい。ただし、もうおわかりのことと思うが、今はやりのIT事業とかは間違っても営んではならない。目に見える物を作っている企業が望ましい。
もう一つ重要な暗示は、「これ以上販売数を伸ばすのは難しい世の中になったなぁ。」ということである。この暗示にも背景としては、80年代のレーガノミックスなどの時代を生きているという暗示が必要だ。ニュースで円相場を見て1銭でもドル高になったときブルーな気分になれば、暗示は大成功といえるだろう。
ここまできてやっと、自分のことをジョンとか言って、さらにベトナム戦争にも徴兵されそうになった経験をもったりするあなたは、これでコストを下げるしかない、という結論に達することができるはずだ!俺からも祝福の言葉を送ろう。Congratulations!
ってわけで、コストへの意識を持てるようになっただろうか?原価計算の勉強をこれから始めようという方はこれでもう後顧の憂いはない。胸を張って原価計算を勉強しようぜ!また、すでに一通り勉強した方であれば、今一度、コストを計算すること、そしてそれを管理することの重要性を、一アメリカ市民として考え直してみることをお勧めする。
このようにして、勉強を進めていけば、原価計算は他人より得意になることウケ合いである。ここを読んでよかった!って思えるような気分になってもらえれば、俺も非常にうれしいもんだが、逆に怖いような気もする。。。
2000.7.16