4-2.はみ出し簿記勉強法


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 さて、ようやく簿記の勉強方法について考察してみることができそうだ。

 

 何事もそうだけど、とっかかりはプロに教わったほうがいいと俺は思う。この試験でいうプロってのは専門学校のことだ。そうすれば、範囲もわかるし受験してる奴のレベルも知れる。またどんな仕事なのかってのもおぼろげながらわかってきて、途中で止めたくなったりするってわけだ。またウンコ講師に当たって激怒し、バカ採点に憤死してしまうかも知れない。それはそれで人生の一場面だから十分に悲劇のヒーローを演じてみてもいいだろう。

 

 また、周りの受験生の話を聞いて自分の位置を確認したり、専門学校のキレイなねーちゃんに心ときめかすのもまた、きっと貴重な経験になるはずだ。

 

 んー、簿記の話だったか。。まず、簿記ってのはどういう科目なのかを説明するのが筋なので一応してみよう。簿記というのは計算科目と言われるものの中の一つだ。計算科目というだけあってさぞ難しい計算をするんだろう、と思う人がもしかしたらいるかもしれない。しかし、実は四則演算ができれば計算はできる。計算の枠組みが難しいんだな、これが。

 

 簿記の勉強方法としては、まず専門学校へ行くと、「毎日簿記の問題を1問ずつ解きなさい。」てなことを言われることもある。これは人それぞれ自分に合った量をやるべきだ。まともな問題だと解くのに1時間かかったりするので、時間に余裕のない人は大変重荷になる恐れがある。たまに妙なコンセプトで簿記を教えてる学校も風に聞いたりするので、そういうヘンテコなスタートでもまあいいだろう。多分、ちゃんと教えてくれるはずだ。

 

 とまぁ、まともに言っててもしょうがねえから、俺の経験を踏まえて編み出した方法を紹介しよう。簿記の勉強は俺は初受験の日から16ヶ月くらい前に始めることをお勧めする。しかもできるだけ簿記(商業簿記・工業簿記)のみやるように心がけたい。最初に目指すのは日商の2級だ。そのあと11月くらいに日商の1級でも受けてみる。そうすれば、簿記は惰性で何とかなるレベルになるはずだ。毎日徹底的にやってりゃ、誰でもできるようになるから心配はご無用だ。あとはスタイルの問題が残るだけとなる。

 

 このスタイルってのも人によって千差万別なんだが、俺的に最適なスタイルを紹介しよう。まず、加算減算をかなりの数をやるので、そろばんか電卓を持ってやることが望ましい。俺はそろばんってのは嫌いだったからやらなかったが、そろばんも何段とかいうレベルに達すると、暗算ですべて計算できるようになるものらしい。そうすると、他の野郎どもがみんな電卓を叩いているときにソイツだけはじっと問題用紙を見つめているだけで済むので、時間がかからないという効果があるから、そろばんのほうがいいだろう。

 

 そんなことできるわけない、と思う向きの方にはやはり電卓しかないわけだが、電卓はとりあえず12桁あるものを用意するべきだ。俺は以前日商1級を8桁の電卓で受験した経験があるが、商業簿記はともかく、工業簿記なるものをやるときには、非常に苦労した覚えがある。整数の計算ならば何とかなるんだが、循環小数などが出てくると、8桁しか表示されないために、正解が1だけずれて不正解にされてしまうのだ。っていうか、俺はそれで何問か落とした記憶がある。注意が必要な点であろう。

 

 さて、その電卓であるが、左手で打つのが望ましい。理由は右手にペンを持って解答を書くからだというが、それはどうやら大した理由ではないようだ。冷静に考えてみよう。ピアニストだったらわかるが、俺にとっては電卓を叩いてる最中モノを書くという行為は不可能な行為の中の一つだ。まあ、それだけの理由だったら無理して左手でやる必要はないってわけだ。

 

 俺が考える重要な理由は2つある。一つは、電卓を左手で使うことによって右脳を鍛えるという効果があるのかも知れないということだ。右脳はひらめきなんかをつかさどるという話を聞いたことがあるので多分そういう効果もあることだろう。今ひとつは、万が一試験日の直前に暴漢に襲われて腕が一本へし折られてしまったことを想定してみよう。どちらがへし折られてもいいように、普段から左手で打つ練習をするべきだ。もちろん、左利きの人は右手で打つ練習を事欠かないようにする必要がある。

 

 電卓にはさらに奥義があって、一本の指で打つよりも5本の指で打つほうが望ましい。これは当然せっかく5本の指があるんだから大いに利用しようという趣旨だ。例えば組を脱退して公認会計士試験に臨んでいる人は4本ないしそれ以下の指しかないケースが多い。そういう場合は残るすべての指を使用して、効率的に計算を行うようにすべきだろう。ちなみに俺は3本の指技しか身に付けなかったし、1本の指しか使わない会計士というのも厳然として存在しているのでそんなに心配する必要はないだろう。

 

 そうすれば、専門学校の講義などを受けて立派な受験生として他の受験生と渡り合えるようになる。さて、立派な受験生になったのに、不幸にして不合格となった暁にはどうしたらよいだろうか。専門学校では簿記は不断の科目としてカリキュラムを組んでいるとこが多いんだ。ってことは、もう一年、似たような頻度で似たような問題をやることになる。

 

 そんなくだらんことをするくらいならば、俺は簿記を半月ほど全く解かずに置くことをお勧めする。そうして半月後、もう一度問題を解いてみて、自分の実力の低下率を割り出してみよう。大して低下してないと思ったら、それは多分、しばらく放っておいても大丈夫だ。簿記ほど面倒でかつ白髪が生えるほど脳味噌に負担をかける科目はないと俺は考えている。したがって、目標としては1ヶ月に3問くらい解くことを心がけよう。まあ、もっと高いレベルに達したいという方は毎日簿記をやったほうがいいに決まってるんだが。。

 

 ちなみに俺も俺の知り合いにもいるんだが、簿記をしばらく放っておいて、試験前に集中して解いただけで簿記はいわゆる合格点を取ったりする奴もいる。そういう奴は他のことに時間を回しているのだから、絶対トクだろうな。

 

 俺の経験から、少なくとも試験日(短答、論文ともに)の1ヶ月前から徐々に問題を解く頻度を増していくべきだと思うぜ。いや、マジでさ。それまではたまーに答練みたいなのを受ける程度でいいだろう。俺はちなみに1週間1問ペースで解いていたが、直前1ヶ月を除けば、そんなもんでいいのではないだろうかね?某専門学校の○テップっていう答練で名前が載らない程度の出来だったんだけどさ。なぜか直前の○テップだと名前が載るところまで簡単に回復してたから、言われているほど簿記の回復力は悪くない。ま、いずれにしても自分で一度シミュレーションしてみるといいだろうね!

 

 正直言って、簿記を真剣に1年以上やっちまえば、あんまり怖いものはなくなるんじゃねえかな?怖いものがあるってことは、ビビる体質なのか、それともインチキ講師にインチキ授業されてしまったとか、はたまた簿記が向かないのかのいずれかだろう。3つ目の原因であると悟ったら、あっさりこの業界から手を引いて、計算のいらない資格を目指すか、きっぱり資格商売をあきらめるってえのが身のためじゃねえか?

 


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2000.7.16