3ー4.社会人受験生


| 前へ | 目次 | 次へ |

 

 さあ、最後に社会人受験生についてだ。この種の受験生というのは俺はごく少数しか知らない。普通に働いていながら、会計士試験を受験するという人々だ。俺から見ると尊敬に値するが、まぁ、やる気がある時期てえのは、人それぞれあるもんだからそういう時期に当たっている人、と見ていいだろう。

 

 公務員の方や、日常業務で取引を多く見ているはずの銀行員の方なんかは、勉強時間がたくさん取れたり、飲み込みが早かったりでこの試験を受けてみる価値は十分にありそうだ。やる気のある時期に受験に挑戦してみるべしだ。

 

 社会人受験生っていうのは専門学校などにはほとんど顔を出さないのであまり知られた存在ではない。休日にしか来ないような人などはおそらくそういう部類の人なのだろうと推測する程度だ。んじゃそういう人はどうやって勉強しているんだろうか?

 

 社会人受験生には、学生・無職野郎にもまして厳しい現実認識が要求されてくる。時間的には無職野郎に及ぶべくもないから、ここは普通でつまらんのだが、質で勝負することとしよう。要するに勉強のやり方なんかを工夫してみてはどうかってことだ。

 

 最低限、通勤電車の中の時間や昼休みなんかを使ってみるといい。このときには専門学校の資料をまとめたカードなんかを作っておくと非常に便利だ。満員電車の中だとテキストを何冊も持ち歩いたり、答練の答えと問題を見合わせたりすることなんかまず不可能だからね。あと、生活するだけの金は最低限自分で稼いで来れるんだから心に余裕があるのも普通の受験生とちょっとだけ異なるところだ。それは十分に満喫しよう。

 

 さて、余裕があることを満喫するための方策としては、まず良いと思った授業はさっさと通信講座なんかで取ってしまうことをお勧めする。現に受講している学校の授業がイカンと思ったら、速攻で乗り換えるってこった。その上で、週休2日だったりしたら、そのうち一日は贅沢にも丸一日勉強に当てよう!しかも、専門学校の自習室なんかに出かけてみたりするのもいいだろう。

 

 さあ、どうだ?そこには金のない無職野郎の無残な姿を見ることができる。「ああ、俺は金があってよかった。」と思う、人間としてどうしようもない優越感に浸ることができる瞬間だ!ちなみにここで、「ああ、他の連中は勉強する時間がたっぷりあってうらやましい。」などとイヌの遠吠えみたいな気分に浸らないことだ。優越感に浸る余裕も持ち合わせて初めて社会人受験生としてやっていけることを知っておこう。

 

 自習室では何をするのかってえと、受験仲間と作るもよし、次の週の通勤時に見るための資料を作成するもよしだ。だが、俺の経験上、無職野郎と仲間になっても、それほどの効果が得られるとは思えないことを付け加えておこう。まあ、敵を知る、という点では非常に意義があることとは思われる。

 

 地方に住んでる社会人受験生などは、近くの図書館に行って、これ見よがしに監査論などを勉強してみるといいだろう。さすがに監査論などは他の連中(例えばなぜか司法試験の勉強をしている連中)から見ると異様なモノに見えるはずだ。もしかしたら、お友達になれるかもしれない。また、監査論を真面目に勉強していると、ひょっとして女の子から声がかかる可能性も否定できないってんだから、楽しくて勉強がやめられなくなることウケアイだ!まあ、万が一にもそんなことはありえねえとは思うが、とにかく、外へ出て勉強すると、何かと気分転換にもなって面白いのではないか、ってことだけなんだけどね。

 

 この辺からマジな話になるんだが、正直言って合理的な考えを持って勉強している人ならば、社会人をやりながらでもチマチマ勉強してれば、短答式試験くらいは突破できるはずだ。さらに論文の前に3日ほど休みを取って3日間の受験日とあわせて一週間くらい休んでいれば、十分なんとかなる試験だと俺は思う。あとは根性ガッツで、「試験の前って忙しいんだよなあ。」なんていう言い訳は無しで挑戦してみてはどうだろう?

 

 心に余裕があることが、この辺で効果を発揮するはずだ。ハングリー精神で背水の陣を敷くのは非常にかっこいいことだろうが、俺の経験上、余裕を持っているほうがボクシングでもねえ限り勝てる。麻雀なんかまさにそういうゲームで、鉄砲(金がなくて打ちに行くこと)で打ちに行って勝って帰ってくるのは非常にドラマティックで絵になるもんだが、大体は金に余裕があるほうが勝てる可能性は高いってもんだ。

 

 俺は社会人やりながら受験したことがねえから無責任なことばっか考えてしまうんだが、専門学校が言うほど難しい試験じゃねえってことだけは、肝に銘じておいて欲しいもんだ。まあ、社会で擦られてきてるんだろうから、本質を見抜く力ってのは世間知らず野郎ども(俺もだけどさ)に比較すれば卓越したものを持っているはずだ。

 

 まあ、毎日残業が11時くらいまである会社にお勤めの方は、5年くらい勉強してやっと土俵にのぼれるくらいの気持ちでいたほうがいいかもしれねえけどさ!

 


| 前へ | 目次 | 次へ |

2000.7.16