3ー2.危険!無職野郎の受験生活(2)


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 無職受験生にも種類が大きく分けて2つある。一つは前述のセイガク受験生が不幸にしてそして往々にあることなんだがそのまま就職もせずにシコシコ勉強を続けるというタイプ。もう一つは社会適応性がなかったか、それともそのプライドが高いのか、はたまた単にわがままなのかしらねえが、社会人だったのをやめて受験を開始するパターンだ。前者のグループが数的には多いかも知れないね。ちなみに俺は後者の類に属している。

 

 まず、卒業しても受験を続けるタイプに言及しとこう。さあ、ガッコというタガはもう外れた。これからは自由に、そして伸び伸びと勉強できるってわけだ。どうせ来年受かるんだから、1年くらいは親のスネかじったっていいよな!やったぜ!超ラッキーなノーローン!!

 

 とまあ、そんな感じでほんとにバリバリ勉強できればいいんだが、ここでももちろん、そうである人とそうでない人の二種類に人間は分類される。学校というタガが外れた分だけ時間を遊びに回してしまうのは後者に他ならない。人間とは弱いもので俺の主観的な統計によれば、まず後者の方が多い。この人たちの末路こそ、俺が真剣に心配してしまうところだ。このままズルズルと数年間、遊ぶ時間はある、でも金がない、てな状態が続くことこそ悲劇ではないか!

 

 やる気がどうも出ないという人には、俺は就職してみることをお勧めする。もち、普通に就職できるなんざ、期待しちゃいけないぜ。大学4年を名乗って、名だたる大企業に入るためにハガキを200枚も書いて、履歴書も100枚書いた人に申し訳ないじゃんか、もし普通の就職ができるんだとしたらさ。

 

 あ、一流大学の方でしたか?こりゃまた失礼!だったら、普通に就職できる可能性は高いですねぇ。くれぐれも会計士試験を受験してたなんて言わないで活動してくれよ。落ちちゃうからさ。もっとも、平均在職年数が3年くらいのところだったら喜んで取ってくれるかもしれねえけど。

 

 そんなかんなで、就職して社会というものを見てくるといい。その上で今後の進退を決めても遅くはねえだろ。どうせ、そのままズルズルやってたって7年くらいかかっちまうぜ、合格するまでさー。

 

 もし可能ならば人があまりやりたくないような仕事で、高給を無理やり稼ぐのも手だ。例えば、佐川急便で一ヶ月70万くらいもらってみるもよし(今はそのくらい出るかどうかしらねえが、俺のイトコは3ケタまで行ったっていってた。)、はたまた容貌に自信のある人ならばホストなんかもいいだろう。いずれにしても遊ぶ時間はなくなるが金は稼げるはずだ。

 

 金がたまったところで受験すべきか否かもう一度考えてみるとよろしい。この時点で受験時代の知識が飛んでるようならば、俺は再受験はお勧めしない。経験を生かして普通の企業に売り込めばよかろうな。佐川急便なんかで働いた経験があって、なおかつ簿記の1級でも持ってた日には、どっかの見所のある企業が必ず1社くらい興味を示してくれるはずだ。

 

 女性の場合は残念ながらこのようなハードワークを行うことは通常困難だと思われる。だが、大学卒業したてくらいの年齢であれば、会計士受験生としての立場を十分に生かしたい。そこで受験中に知り合った合格しそうでかつかっこいい男を早めに捕まえておくというのはどうだろう?そうすれば、もしかしたら結婚後ダンナが働いて受験させてくれるかもしれないという非常に現実的な解決方法も見え隠れしてくる。

 

 しっかし、女性で7年くらい受験生活を送っている奴というのはいまだかつてお目にかかったことがないのは不思議なことだな。男だったら相当いるのによー。まぁ、永久就職という道がこの国ではまだ完備されているという証拠になるかもしれないね!だから、引き際も良い。この辺をわれわれ男性も見習わなければならないところだ。そういうわけで、ヒモを目指すという選択肢も非常に現実的、かつ合理的だ。

 

 一方、バリバリ勉強する奴の末路というと、おそらく合格して晴れて会計士となるのだろう。大学卒業後2年くらいで合格するならば素晴らしいことだ。別に年齢上のハンデなんかないから、心配せずに仕事に励んでくれるとよろしいってわけだ。体力的にもありあまるものを持っているし、合コンとか行けば、多分目当ての女を口説き落とすことは容易であることは十分に考えられる。要するに学校卒業してもちゃんと勉強しろよ、ってこったあ。

 

 さてさて、次に脱サラ組であるが、これはまた一段と厳しい生活が予想される。この場合、学生時代から会計士になりたいと思っていたか否かによって学生のときから受験してる奴と決定的な差が出てくる。彼らは何らかの理由で現在の仕事が嫌になり辞めちまった人々としてひとくくりにされる。しかも近年、20代の無職の男性といえば犯罪者の代名詞となりつつある。毎度毎度平日にスーツも着ないで、しかも朝10時ごろに外へ出て行くだけでも、近所に脅威を与えることだろう。俺も相当昼間にうろついていた(学校行ってなかったから、毎日昼間にコンビニに立ち読みなんかにいってたんだよ!)もんだ。

 

 特に一人暮らしの場合、下手をすると警察などが来てしまうこともしばしばだ。そこで俺が提案したいのは近所の人と仲良くなって受験生であることをアピールしとくことだ。俺なんかは近くのおしゃべりな八百屋のオッサンと仲良くなって、あらかじめしゃべっといたから、近所のオバチャンなんかたまに会うと「ちゃんと勉強してんの?頑張ってね!」などと声をかけてもらってたもんだ。残念ながら近所のおねえちゃんとかには声をかけてもらうことは考えにくいので留意する必要がある。

 

 また、金の面でもこの種の人々は結構な苦労をする。例えば親が金持ちで一日5000円、つまり1ヶ月で15万円くらいの「おこづかい」をもらえるくらいならば何の心配をいらないのだが、俺なんかも途中から仕送りを受けていたものの、1ヶ月2万円での生活は非常に苦労を伴ったもんだ。また、ゴキブリなどが異常発生するような安く、かつきたないところで生活していると、コンバット代も馬鹿にならない。俺の場合、ゴキブリは極度に嫌い(好きな奴はいねえよな)なので、コンバットを家中に20個置いて防備していたせいか、非常に金がかかった。

 

 普段、受験生を見ていると、昼飯にかなりの差が見られる。俺が見たところでは、女性の場合はコンビニのおにぎりに缶のお茶くらいで済ましていることが多かった。女性ならばそのくらいで済むのであろうが、男性の場合はそうはいかない。

 

 そこで無職男性の昼飯事情を見てみよう。

 

 まず、普通昼飯を外で食うはずだ。俺も確かに貯金があったころはそうしていたもんだ。だがだんだん蓄えが乏しくなるにつれ、定食などを昼と夜食って1500円ほど使う生活に疑問を持ち始めた。俺は去年はほとんど学校へ行っていなかったのだが、その主要な原因は飯代にあるってことは意外に知られていないであろう。

 

 家から遠く離れたところで生活をすると何かと金が飛ぶ。そこで毎日家で勉強とシャレこんだってわけだ。毎日家で勉強すると、のどが渇けばお茶などがすぐに飲めるし、また自炊をして1食100円程度で済ますことが可能だ。さらに交通費なんかも一切かからないってんだから、1ヶ月の生活費が1万円程度にまで抑えられる。しかしながら、俺の場合は、ネットで東風荘なんかやって1ヶ月2万近くの電話代がかかっていたもんだから、あんまり意味はなかったのだが。。

 

 自炊にはいろいろあるが、俺が選んだのは「ラーメン生活」である。そう、あの袋に入った奴だ。ヒントは八代亜紀の故事である。彼女は下積み時代、歌の練習なんかしてると非常に腹が減るので、袋ラーメンを1回に2つ作って食っていたってわけだ。俺はそれに習って、ほぼ毎日ラーメンを食っていた。ラーメンにはいろいろとトッピングすることも可能で、キムチ、卵、ねぎ、にんにくなど栄養バランスもなかなか良い。

 

 しかし、こんな生活を半年もやってるとたまにはいいものも食いたくなる。俺はたまにコンビニの弁当を買ってきて食った。たまに食うとこれほどうまいものはない。また、缶コーヒーなんかもなかなかイケるもんだってことをこのときに知ったくらいである。さらに、勉強と麻雀に熱が入りすぎて1日半、飯をまったく食わなかったこともあったが、そのあと自分で炊いた飯をおかず無しで食ったときに、飯のうまさというものを感じたもんだ。飽食時代の昨今、こういう生活も長生きの秘訣となるのかも知れない。

 


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