正月ネタ特集


その1 寒い大掃除

 前にもどっかで書いたことがあるかもしれないが、大掃除ってのに非常に疑問を持っていた時期がある。ってか、今でもかなり疑義が残っているんだよ、俺的には!

 こんな寒い時期に何で大掃除とかいうトチ狂ったことをやるのか、という大命題に挑んでみよう。

 その前に、大掃除という習慣、こりゃあもう賢明な皆さんならばよーくおわかりのことだろう。なぜ、こんな習慣が発生したのか?ってことをよー!そりゃ当たり前だぜ、年の終わりで一つのケジメという観念が異常に強いからだろ。たまにこの強い観念を勘違いして、「これこそ世の中の正統であって、大晦日に大掃除をしないなんて変人かバカかどっちかだろう。」と主張する奴がいる。いるなんてもんじゃねえ。実際にはそれが超多数だ。圧勝したときの自民党もビックリするくらいにな!

 俺もある区切りをもって大掃除のタイミングとする、ってことには賛成だ。そりゃ人間たる者、いつかは掃除をしなきゃなんねえ。しかも気合の入った掃除をな!区切りがないと、人間ってのは怠惰なもんで、掃除なんかするわきゃねえんだ。でもよ、年末にやるってのが気にいらねえ。年末に掃除をすることのデメリットが余りにも多いことに、賢明なみなさんも気付いていないだろー?

 まず、第一に寒いことだ。ヘタすりゃ雪が降ってくる時期だぜ。大掃除なんてして窓開けて外壁を洗ったり、ゴミを捨てに行ったりすることすら、滅茶苦茶寒くてはっきり言って、俺はついていけねえんだ。次に、年末ってのは何かと忙しいってのが世の定評だ。これについても俺は少々言いたいことがあるが、まあそれは置いといて、師走がウンタラと語る野郎どもからすれば、忙しいんだろ?だったら、なんでそんな忙しいときに大掃除なんかやろうとするのかよ?

 これが東京とか大阪とかコッチの方だったらまだいいぜ?秋田とか稚内だったら、寒いんだ、滅茶苦茶よ!俺は北海道で生まれ育った人間だが、親が決まって年末に大掃除をしていた。俺ははっきりいって寒くて嫌いだったんだ。並みの寒さじゃねえぞ?俺はよく窓拭きをさせられたが、窓に水をかけて洗剤なんかつけて洗う。その後水をぶっかけて洗剤を落とす。そして普通に拭いて、最後に乾拭きする。一箇所に存在する窓が多かったせいもあり(一軒家なんでね。田舎だからさ。)、この工程の途中でガラスが凍るんだぞ!マジで!

 ガラスが凍ると、お湯をかけて氷を溶かすか、氷をガリガリやって取ることになる。この作業は水をぶっかける作業と同じくらいの時間がかかるんだ。一箇所当たりだぜ?しかもその間、自分の身は外に晒されている。マジでさみー!しかも衣服が水で濡れているってんだから、シャレになんねえよな!?

 このようなバカなことを、単に昔からの習慣である、ということで行っていた俺んとこの親たちの行為に一度クチを出したことがある。ってか、寒いからやりたくねーよ、ってなことを言ったんだ。全ての窓ガラスを洗うことと、車3台分の洗車という、過酷な分担が俺にそう言わせたのかも知れない。そしたら、返答は怒りそのもの、ってか、憎悪を感じさせるものであった。「毎年やってるんだから文句いわねえでやれ!」「みんなで掃除してんだろ!オマエもやれや!」「家の中で掃除してても窓開けてるからオマエと同じくらいに寒いんだ、バカ!」「オマエ、親の言うことをきかねえのか、コラ!」「テメーは家に住んでる権利がねえ!さっさと出て行け!」とまあ、こんな感じだ。理性のかけらもねえだろ?今でもこういう親は多数いるはずだ。間違いなく、その子たちはグレるぜ?俺が保証する!こんなことを言うのはやめとけってんだ。

 よく単純なバカが言う、「師走が忙しい」って言うことを俺が全く気にいらねえ理由は、実はこうしたバカげた習慣が多く残っていることにあり、バカはこういったバカげた習慣を肯定しているんだと俺は信じて疑わない。ま、バカだからバカげた習慣を肯定し続けるんだろーけどよ!

 昔はこれでよかったのかもしれない。家も狭かっただろうしさ。家が広いところならお手伝いさんみたいなのがいただろ?しかも、俺の田舎では親戚及び近所付き合いってのが多数あった。特に親戚なんてもんは、世代を経るにしたがって、ゴキブリの繁殖とまではいかないまでも、膨大な数に膨れ上がってくる。それ全部に年末若しくは年始の挨拶をして回んだぜ?クルってるとしかいいようがねえんだ。

 それでも、失礼だと思われるから挨拶して回ったりするし、年末に大掃除してないとおかしいと思われるから、寒さをこらえて大掃除をする。つーか、これらの行動の根底にあるのは、伝統習慣を重んじるという風潮があることにあると俺は睨んでいる。伝統を重んじるんだったら、祖先たちの合理性の伝統を重んじて欲しいもんだ。狭くてボロい家だからこそ、年末という一つの非常に分かりやすい区切りに懸命に掃除して清潔にする。そして数少ない親戚・知人に挨拶をして回ってその絆を確認する。こういうことだろ?最初は!

 そもそも俺の祖先だって海から来たんだ。故郷を捨ててきたんだろ。その時点で伝統なんか捨ててきてるに違いねえんだ!その祖先を崇拝してやまぬのが日本人の心だとか言ってる連中は、自分らのことをよーく考えてみろ。自分らは合理性を全く継承してねえことに気付いてもいいんじゃねえのか、と俺なら思っちまうぜ?

 つーことで、ともかく冬に大掃除をするなんてことを誰が考えついたんだ?全くよー。前述したような「師走バカ」がよく言うのを聞くんだが、「そりゃオマエ、年末年始はみんな休みだからこのときくらいしか出来ねえだろ、大掃除なんて!」とかさ。こりゃ結局、年末年始は暇だから掃除するってことなんじゃねえかと思うぞ。つまり、師走は暇なんだろーが!?

 ま、かといって、俺は夏に掃除しようとは思わないんだよな、やっぱり。なぜかってえと、夏に大掃除なんかやってさ。窓なんか洗っていた日には、窓を開けた間隙を縫ってゴキブリその他昆虫が俺の聖域たる生活圏に入ってくるからなんだよね!こりゃたまんねえ!湿度も高いし、やっぱ夏に掃除すると暑くてかなわねえってことになるんだろーなー?

 秋あたりが丁度いいが、大掃除するだけの心に余裕のもてる休みがないことが少々不満だな。というわけで、やっぱり俺は冬にやることになるよな、大掃除は…。でもやっぱ、俺が北海道に住んでいたら、絶対に冬に大掃除なんてやりたくねえぞ!


 洗車ってのが特に辛かった。小学生の頃よく洗車を手伝ったことがあった。自分の家の前に外付けの水道があり、それを用いて洗車するんだ。夏はいいんだが、冬は辛かった。しかもだ、俺んとこのバカ親はこれがしつけのよい機会であるとばかりに、ちょっとした汚れが残っていると狂ったように怒り出したんだよね。

 ドアの接触面部分とか、タイヤのホイールの穴の部分、そしてナンバープレートの裏、ボディの裏側などなどだ。見えないからいいや、ってんで俺は放置しておいた。無論少しは洗ったんだけど、完全という訳ではなかった。すると、怒り出すんだ。親がね。

 そんなところまでやれねーよ、寒いしよ、ってのが本心だが、怒り方が尋常ではなかったんで、仕方なく裏側までやってやった。はっきりいって、見える部分を洗う時間の2倍くらいの時間がかかった。つーか、やってる途中でツララ状態になるくらい寒かったんだ。

 今度はツララが出来たんで、それを除去する作業をする。ボディの裏なんて裏なだけあって乾燥しにくい。水拭きで裏側を拭くと、さすがにまだ汚い。面倒だし、水拭きが汚くなると困るからってんで、洗車はそこで終了だ。

 この状態で親に引き渡したんだが、運が悪いことに水がポタポタと落ちている。ドアの接触面も洗っていて、水もふき取っているはずなのに、ドアとボディのスキマからも水が滴り落ち、しかもボディに流れ出し、それらが少しずつ凍ってくるってなわけだ。これを見た親は再び激怒した。俺はもう関わっていらんねえと思って「だったら自分でやってくれ!」ってなことを言ったら、激怒なんてもんじゃなかったなー!もう発狂という言葉が似合うってな感じだったぜ、ホントによ。

 殺されそうなくらいの怒り方だったんだ!ま、俺の親もさすがに子を殺すことはなかったし、直接傷害することもなかった。つーか、傷を負わなかったのは俺がうまく逃げていたからだ。

 5つくらいのときにゃあ、これも冬だったが親が怒り出して俺を外に放り出したからな。放り出したという表現がピッタリの放り出し方だった。雪の吹きすさぶ中に放り出された俺は、こんな奴に食わしてもらっているのが非常に情けなかった記憶が強烈に残っている。このとき以来、ヤバそうになったら、逃げるか、無視してどっかに行っちまうか、ということをやるようになったんだよな。バカは相手にしない、ってな態度を明確に表していただけに、親の方もそりゃあハラが立っただろーけどよ!

 多分、かなりハラが立つことを喋るガキだったからこういうことになったんだろうけどね。でも、こんなガキを育成した親にかなりの責任があるだろ、と俺はその5つくらいの頃から思っていたから、全くもってかわいくないガキだったんだろーな!こう考えると、俺がいざ親になったとき、俺と同じようなガキが生まれてきた場合を想定すると、非常に怖い…。

 かなり前の話だが、ある女性と話をしていたときにちょっとヤバめの話になったことがある。ヤバイってのは、色々事情があり(笑)彼女相手にあんまり変なシモ系の話をしたくなかったんだが、こんな話になったことがあった。
女性「子供好き?」
俺「子供は好きだぜ!」
女性「私も子供大好き!子供欲しいなぁ…。」
俺「…(ヤバめ会話警報察知)あ!でも俺、自分の子供は多分嫌いだわー!
と咄嗟に答えたんだが、これ、ウソじゃねえんだ。よく考えてみたら、俺みたいなガキが現れたら間違いなく殴り倒しているはずだ。少なくともかなり厳しく当たることは確実だ。つーか、はっきり言えばそんなガキはマジで嫌いだ!

 下らぬ話はさておき、洗車の話に戻ると、幼い頃の記憶が元で俺は洗車という行為にものすごい嫌悪感を抱くようになった。学生の頃車を持っていたが、もう人前に出すのが恥ずかしいくらい汚い車だったんだ。洗車しようとすると上記のような記憶が甦ってきて億劫になる。幼少時の記憶ってんのはいつまでも残るものだよなー。気をつけようぜ?!

 


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2004.1.5