HP消滅事件

 

オマケ。ヒマなら見てね。

 

 これを書く前に、夢を見たんだよな。不思議なわけわかんねーやつね。でも、こんな夢を見た翌日は、実に爽快な気分になるんだよ、俺は。というわけで、オマケのオマケ、っつーか、よくアンタもまだ読んでるね、と感謝なんだけどね。話は全くつながらねえが、ここから先はタブーの空間だ!(笑)

 

 終戦直前(1945年8月13日)なんだよ、夢の中では。わけわかんねえだろー。んで、俺は高校の建物の中にいる。つーか、俺の高校って確か1960年代に創立されたんで、終戦のときになんかあるわきゃねーって。

 ともかく、高校の建物の中身もちょっと変わっててさ、しかも行動を共にしてるのが、昔仲がよかった連中4名(男子校なのに女の子も混じって男子校の中にいるんだぜ!多分、避難所かなんかだったんだろうな、ということにしておこうか。)と、大学のときの友人一人と監査法人でツルんでる奴2名で、俺を含めて計8名。なんか知らないが、この夢の中では、「戦争が終わることをみんなに知らせてはいけない。」というシバリがあった。

 あと2日で戦争が終わるのは知ってるんだよ、俺らだけはね。けど、米軍機が度々飛んできては、爆弾を落としていく。遠い時もあれば、近いときもある。建物から出るなー!というセンコーたちの怒号が飛ぶ。俺は冷静になろうとしてタバコを吸おうとしたが、そういや、この時代、ライターがねえんだ。仕方なく学食までいって、オバチャンにマッチをもらってきた。つーかさ、高校生(夢の中では高校生だったんだよ。マジで。)にマッチくれんなよな、オバちゃんよー。オバちゃんたちはおかゆかなんかを作ってて、建物から出れない高校生たちに無料で配ってたんだ。

 建物から出られないので、みんな帰れない。仕方ねえから教室でみんな一緒に寝て一夜が明けた。さあ、あと一日だ。頑張って生き残るぞー!っていうか、俺は夢の中で夢だと知って冷静になったりしないので、かなりマジだ。爆弾が落ちてきたら死ぬ。「あと一日で戦争が終わるのに、戦争で死ぬなんて、そんなツキのねえ男じゃねーよ、俺はよ!」なんて周りの連中に言いながらね。

 俺は思い出した。高校の半地下室がある(現実には俺の行ってた高校の宿舎にはそんなもんはなかったんだけどよ)。そこには風呂があって、その風呂場の先の部屋の天井裏から、外へ抜け出る秘密の抜け穴みたいなのがあるんだ。夢の中では、何日か前、俺が一緒にいる女の子にそこを案内されたことがあることになってた。それをふと思い出したという設定になっている。その抜け穴は、天井裏のすぐ近くから地下5mくらいのところまで縦に掘られていて、はしごみたいなのがついている。そのあと横穴になっているんだが、横穴の広さからして這いつくばって5人入ればせいぜいだ。出口も竪穴になっているというシロモノだ。俺はその女の子に相談してみた。

「地下の穴に隠れるってんのはどうだ?あそこなら、絶対に死なないぜ?しかも、一日分くらいなら飯をかっぱらってもっていけば何とかなるだろ!」

しかし、女の子はこういう。

「私たちだけ、しかも私たちの中の5人だけ助かったってしょうがないでしょ!行くならみんな一緒に行かないと!」

などといいやがる!みんな行くとなると、俺ら8人は入りきらない。竪穴部分に何名かいることになる。はしごに掴まって一日過ごすなんてことは出来るわけがねえ。つーか、この女の子、普段は自己中なはずなのによー。こういうとき、俺はどういう行動を取るのか、ってんのが夢の中で試されていたんだろうか。

 

 さて、ここで問題。俺はどうしたと思う?俺は心底夢を夢だと思ってねえ。マジに行動している。

 

 人が右往左往する、学園祭の時のような雑踏の中、その女の子から離れて学食へ向かった。飯を余計にもらうためだ。そして、別の仲間の一人に、この安全な防空壕の話をしてみた。すると、彼はあと3人だけ集めてそこに行こう、ってなことになった。思い立ったら吉日だ。さっさと行動することになった。

 風呂場は比較的大きくて3人くらいが常時風呂に入っている。男子校だから、当然覗き見るようなモンじゃねえやな。俺ともう一人の信用できる奴と、もう一人監査法人の後輩で風呂に入ることにした。風呂は順番待ちで、結構な人が並んでいた。

 俺ら3人が風呂に入って風呂場を占拠したスキにあとの二人を呼び出して、天井裏から安全地帯に入ろうってわけだ。当然、5人が続けて並んでいたことは言うまでもない。他の奴にはバラしたくないのだ、俺だけ知ってる安全地帯を。

 俺は風呂を待っているがあと3時間くらいはかかりそうだ。ウダウダしながら待っていると飛行機が飛んでくる音がする。何十機もだ。校舎の反対側の近くに爆弾が落ちた模様。ものすごい揺れがして、天井からゴミや電球が落ちてきた。しかし、風呂場に並んでる奴は何故か冷静に風呂を待っている。自分たちには関係ないことかのように。

 すると、俺の知り合いが走って飛んできた。「●●ちゃんが死にそうなんだ!建物が崩れて下敷きにーー!」●●ちゃんってのは件の女の子だ。俺はそれを聞いて背筋が寒くなった。風呂はあと30分もあれば入れる。抜ければ、順番が繰り下がるのは銀行のATM待ちと同じだ。

 夢の中にも関わらず、俺は叫んだ。「わかった!今行く!」ってね。そして、走って飛んでいった。他の4人は抜け穴の場所は知らない。

 建物の壁の一部が崩れていて、30人くらいが怪我をしたまま、下敷きになっている。現場にいたセンコーに聞くと、まだ死んでる奴はいないとのことだった。●●ちゃんは、ブサイクだけど頭もよくて空気も読めて面白くていい奴だった。こんないい奴を死なせてはいけないのだ!

 現場ではみんなそれぞれ怪我人の救出に当たっている。俺は●●ちゃんを発見した。おっつけ、他のみんなも飛んできた。みんなで倒れている木材を拾い出す。●●ちゃんはまだ生きているようで、助けてとか痛いとか何とか、いつものような悪態も混ぜながら叫んだりしている。元気だ。死ぬわけじゃねえ!俺は少し安心した。だが、いつまた飛行機が飛んできて爆弾を落としていくのかわからない。

 懸命に作業をする仲間。ああ、こんなことなら、最初からみんな一緒に行動していればよかった。一緒に行動してれば、●●ちゃんもこんなところには来なかったはずだ…。俺の頭の中は後悔で一色だ。あと1日なのに…と。

 何十分か経っただろうか。最初は●●ちゃんの腕しか見えなかったが、ようやく顔が見えた。●●ちゃんは足が折れているかもしれない、と言ってたが、ブサイクながらいい笑顔で俺らを迎える。俺らも口々に「もう少し我慢しろよ!もうすぐ出してやるからな。そして、戦争が終わったら病院でゆっくり治すんだ!」なんて言いながら励ました。

 

 ようやく●●ちゃんの全身が出てきて、あとは引っ張り出すだけになった。別に足も折れてなさそうだ。高校生のくせに何故か医学知識を持ってる奴がそんなことをいう。俺はみんなの顔を見た。みんな達成感で晴れ晴れしている。●●ちゃんも支えればどうにか歩けるらしい。飛行機のエンジン音が聞こえてきた。遠くで爆発音が何発か起きている。早くどっかへ行かなければならん。

 

 …ここらへんで終わるとハッピーエンドなんだが…

 

「さ!みんな逃げるぞー!!…」俺がそういった。それに続いてみんなに謝ろうとしたのだ。一部の人間だけ助かろうとしていたことを。口を開こうとした瞬間、ヒューーー、という音。そして、その音は頭上に近づいている。それは間違いなく落ちてくる、俺らの真上に。みんな上を見上げて、足を止めた。

 

 あと1日だというのに!みんなに謝れないまま俺はみんなと一緒に死んじまう!しかも、それは全部俺のせいなんじゃねーか?俺の両親は田舎で生き残っているはずだ。いや、まさか俺が家に帰らず、こんなところで死ぬなんて思ってないんじゃないか?つーか、まだまだ遣り残したり言い残したりってことが沢山ある。

 

 そして、死んだらどうなる?俺は今まで死んだら終わりだと思ってたんじゃないか?この先何かあるのか?現実の世界はまさに夢のようだったのかもしれない。俺だけが見ていた夢か…。夢にしては、リアルな夢だった。俺がいなくなったら、この世の中もなくなってしまうのだろうか。それとも、俺が今まで見送ってきた人たちのように、生き残った人たちも俺を見送って、そして、そのまま生きていくのだろうか。気にいらねえが長い付き合いだった両親、バアさん、俺のせいで死んじまう仲間たち、その他の友達、親戚、近所のオジさんやオバさん、そして、まだ見ぬ人たち…。

 

 ヒューという落下音が止んですぐに、頭上で、「ガガガーン!」ってな音がした。いろんなものが落ちてきた。

 終わった、全てが…。

 

 というところで目が覚めたってわけ。俺は何度も書くが、夢の中でも非常にマジだ。っていうか、初期設定がどんなにおかしくてもマジなんだ。死ぬ前にはいろんなことを考えるもんだと思ったよ。でも、ヘンなもので、俺は起きた時、非常にすっきりしている。楽しかったんだろうかねー。こうやって思い出してみると、かなりやりきれない思いをしたが。

 

 ついでに書いとくと、俺はフロイトの夢判断ってのは信じない方なんで、そのつもりで。夢判断で出てくる結果は非常に面白いけどね!


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2003.7.19