[あいかーるの小部屋]

【2KB小話】

5.ぼくのおじさん

海外旅行ってのは俺にとっては金さえあれば行けると幼い頃より教えられつづけてきたものだ。幼い頃のある日、親にパスポートが欲しいって言った時に言われたんだ。金がなきゃパスポートも取れないし、外国に行くには30万円もするんだ、ってな。アンタが大きくなって金を稼いだら行ってきなさい、っていうわけだ。

なんで幼い俺がこんなことを言い出したのかってと、「ぼくのおじさん」という児童向けの本ってのを読んだからだ(図書館で借りたんだけど、本を読まなかった俺に何か読め、と先生が勧めてくれた本だ)。この本は、なまけものの「おじさん」が、懸賞だか何だかで当たった小学生の「ぼく」とアメリカへ出かけるというお話だ。「懸賞で」でも当たらないと海外旅行など出来なかった時代ならではのガキ向けの本だ。俺的にはガキ向けのどの本よりも楽しい本で、何度も繰り返し読んだ。あんなに読みやすい本は生まれて初めてだった。 

んで、現代。ちょっとした金さえ出せば、どこにでも行ける時代になった。ま、別に行かなくてもいい。ネットかなんかで風景くらいは見れるもんね。俺が海外へ行く時は、かならずといってもいいほど、有名観光地に行かないのだ。その場の雰囲気と食い物、そして住んでる人たちといろいろお話する。これが俺の楽しみ方なんだ。あと、歴史的な建造物やら遺跡やらも見るのが好きだ。遺跡は田舎にあるから見れないことが多いんだけどね!

でも、何といっても、俺の海外旅行の楽しみは免税店と機内食・酒だ。先に述べた「ぼくのおじさん」で俺が鮮明に記憶しているのが、「おじさん」が飛行機の中の酒は飲み放題だからいくらでも飲む場面だ。確か、グースカ寝てしまってたような気もするが…。今でも俺は機内の酒は飲めるだけ飲んでしまう。3ツ子の魂百まで、とはよく言ったもんだ。

2003.7.15 Karl5 Production